10月 消費税10%への引き上げ
生業をつぶす増税は中止すべき

全国商工新聞 第3373号2019年8月19日付

 7月の参院選後、政府・自民党から消費税10%への引き上げについて「信任を得た」「景気悪化の際は追加の景気対策を行う」との発言が相次いでいます。
 しかし、比例区の得票率は増税を公約した自民・公明48.42%で、増税中止を掲げた野党48.15%との差はコンマ以下です。13複数区の当選者も増税派22人に対して増税中止の議員が20人と拮抗し、選挙後の世論調査(「共同」7月22、23日)では増税「反対」が55.9%に達するなど、国民は決して消費税率引き上げを認めていません。
 新たな消費税収を「全て還元」し、さらなる税金投入が必要になるくらいなら、増税しない方が、よほど賢明です。
 しかも、今回の増税は過去2回の消費税率引き上げとはケタ違いの悪影響を及ぼします。
 第一に、取引価格の1割という税率が消費へのダメージをかつてなく広げ、深刻な景気悪化を招く。第二に、「軽減」とは名ばかりの8%と10%の「区分経理」やポイント還元など「万全の対策」が格差を広げ、事業者に多大な事務負担と混乱をもたらす。第三に、約500万の免税業者を取引排除の危険にさらすインボイス制度の実施が盛り込まれている-からです。「区分経理」の不備を理由にした仕入れ税額控除否認も横行しかねません。
 強行が狙われる税率引き上げと制度改定は、「消費に薄く」「取引慣行及び納税者の事務負担に極力配慮」「課税の累積排除」など消費税のあり方を規定した税制改革法違反です。複雑な実務や設備導入の押し付けは「苦役からの自由」(憲法18条)に抵触します。憲法が要請する応能負担原則に反する消費税は本来、存在が許されない税制です。
 消費税10%ストップ!ネットは、1~2日に「臨時国会を開いて増税中止の決断を」と議員要請を行い、消費税廃止各界連絡会は宣伝など「真夏の大行動」を提起しました。インボイス制度に危機感を募らせるフリーランスの人たちは自発的にデモを計画し、ネット署名を始めています。
 生業をつぶす消費税10%と複数税率・インボイス制度の実施は中止すべきです。

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