全国商工新聞 第3364号2019年6月10日付
7月に予定される参議院選挙を前に、中西宏明経団連会長は5月20日の定例記者会見で「今の国家財政について、国民の間でしっかりと危機感を共有するためにも、消費増税は予定通り実行すべき」と主張しました。
消費税増税をめぐって、政府統計の改ざんや経済指標の悪化などで、増税の根拠が総崩れとなっており、「消費税は必要」との立場の人からも、今年10月からの増税はストップした方がいいとの意見が噴出している中での発言です。
昨年暮れに立ち上がった「10月消費税10%ストップ!ネットワーク」の運動が、短期間で18県20地域(5月26日時点)に広がり、参院選では市民と野党の共闘の共通政策に「増税中止」が盛り込まれました。「今、上げるべきではない」の世論が大きく盛り上がっていることに対しての、財界の焦りの表れです。
許されないのは、またもや「国家財政破綻論」を持ち出しての消費税増税必要の脅しです。財界首脳と政府は、消費税導入時や、税率を引き上げるたびに同じように説明してきましたが、一向に国家財政は改善されていません。さらに社会保障制度の削減に加え、勤労者の賃金も減少しているのが日本の現状です。
「国家財政に危機感を持っている」というのであれば、庶民いじめにつながり、輸出大企業への多額の税金還付を生む消費税増税ではなく、442兆円もの莫大な内部留保を抱えている大企業への適正な課税など、応能負担に基づく税金の集め方への大転換こそ必要です。
民商・全商連は、国家の根幹をなす「税の在り方と使い道」を正す立場から、生存権を脅やかす重税に反対し、徴税権力の横暴を是正する運動に取り組んでいます。
今度の参議院選挙は、中小業者の死活がかかった重大な政治戦です。
消費税の悪税ぶりを知らせながら、中小業者の営業と生活が政治と深く関わっていることを直視し、中小業者の諸要求を阻んでいるのはどの政治勢力かを明らかにする運動を大きく展開していくことが重要です。
消費税増税に固執する安倍政権に厳しい審判を下し、政治の流れを変える選挙にしていきましょう。