全商連が「軽貨物提案」発表
共同広げ「物流危機」打開の力に

全国商工新聞 第3361号2019年5月20日付

 全商連は10日、「軽貨物運送業の危機打開と健全な発展のために-民商・全商連の提案」(軽貨物提案)を発表しました。
 軽貨物運送業者は、約15万8000者に上り、多種多様な物流を担うなど社会になくてはならない役割を果たしています。
 ところが、軽貨物運送業界は典型的な長時間労働と低賃金状態に陥り、ドライバー不足が顕在化するなど、危機的状況に直面しています。労働時間は全職種平均と比べ1~2割長く、賃金は1~3割低いという劣悪さです。「ドライバーが車両の中で冷たくなって発見」される悲劇も起きています。
 重層下請け構造の中で、消費税の転嫁もままならないという声も寄せられています。
 国土交通省は「トラック運送サービスを持続的に提供可能とするためのガイドライン」を策定し、運送約款を改正するなど対策に乗り出していますが、その効果はすべての軽貨物運送業者には及んでいません。
 そこで、過酷な実態の原因を明らかにし、三つの打開策を示したのが全商連の提案です。
 その第一は、軽貨物運送業者の持続的発展を可能にする適正運賃・料金体系を確立し、消費税の転嫁拒否を根絶することです。
 第二は、「宅配ボックス」の設置や指定された場所に荷物を届けて帰る「置き配」などの推進で再配達を減らし、荷物の配達終了まで運賃を払わない「個建契約」の押し付けを規制するなど、長時間労働を是正し、働きがいのある人間らしい仕事にすることです。
 第三は、取引を適正化し、支払い条件を明確化する国のガイドラインを守らせ、発注元・仲介業者の悪質な法令違反を厳しく取り締まることです。
 この提案に対して軽貨物運送業者から、「素晴らしい内容」「『置き配』が広がれば助かる」「同業者に届けたい」など、期待と賛同が寄せられています。
 いま、「物流危機」と呼ばれる現状の打開が求められています。「軽貨物提案」を力に、事業者の団結と共同を広げ、監督官庁や大手事業者・業界団体に提案の実現を迫りましょう。

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