全国商工新聞 第3348号2019年2月11日付
就学援助制度の入学準備金を、入学前に支給する自治体が広がり、経済的に困難を抱える保護者から「助かる」と安堵の声が上がっています。
文部科学省の調査によると、2018年度の実施分として今年2月から3月に支給する市区町村は、小学校72.8%、中学校78.6%となっています。
就学援助制度は、憲法26条の「教育を受ける権利」「義務教育は無償」の原則に基づくもので、小中学生のいる家庭に、学用品費や入学準備金、学校給食費などを補助する制度です。
入学準備金は17年度から、国の補助単価が約2倍に引き上げられました。さらに、「交付要綱」が改正され、中学校に加えて小学校についても対象を「就学予定者」とすることによって、入学前の支給を可能にしました。
入学準備金は、入学後の6~7月ごろに支給されることが多かったのですが、入学時に必要となるランドセルや体操服、中学校の制服などは、入学前に買いそろえるものが大半です。
支給時期の前倒しは「必要な時期に必要な額が支給されるように」と、改善を求める声や他団体との共同の運動が実ったものです。民商の就学援助説明会などを通じて、制度活用は権利であることを学び、確信を深める機会になっています。ある婦人部役員は、今では迷わず知り合いに制度を勧めているといいます。
義務教育費は無償とする憲法に基づき、国民・中小業者の要求として自己負担をなくすことや就学援助の認定基準を改善して支給対象を拡大し、給付額を引き上げることが求められています。
認定基準は生活保護基準に係数をかけている自治体が多く、18年10月から生活保護費が削減されたことにより、これまで就学援助を活用できていた世帯が制度から外されることがないように、働き掛けることも大事です。
住民の福祉を最優先する自治体本来の役割が発揮されるよう、役立つ制度の創設や改善を提案し、4月に行われる統一地方選挙も視野に入れて、自治体要請を強めましょう。