全国商工新聞 第3341号2018年12月17日付
臨時国会が10日に閉会しましたが、安倍政権の暴走と破綻が際立つものとなりました。
首相の所信表明での呼号から、与野党の合意を無視して衆議院の憲法審査会が開かれたのは11月末でした。「掟破りだ」と抗議が相次ぎ、自民党・改憲案の提示を断念させましたが、立法府への乱暴な介入に首相の反省はありません。自民党の閣僚全員が、神道政治連盟や極右の日本会議の議連に属しています。9条改憲の発議を断じて許さないたたかいが強く求められます。
与党の数の横暴で国会審議が形骸化し、行政府を巻き込んだウソや隠ぺいが積み重ねられて、暮らしや生業に重大な影響をもたらす悪法がゴリ押しされたことも見逃せません。
例えば、出入国管理法の改定です。外国人技能実習生の「失踪」実態を示すデータのねつ造が発覚しましたが、狙いは財界の求める「使い捨て労働」の拡大です。今後、「省令以下」で具体化される業種や規模への監視を強め、個人の尊厳を守るたたかいに生かすことが大切です。
漁業法や水道法の改悪、日欧の経済連携協定(EPA)の承認なども強行されました。いずれも多国籍大企業への市場開放に突き進むものです。地域からまちづくりと循環型経済への提案を強め、公務労働との共同を追求していく必要があります。
一方、臨時国会でも省庁に対する共同ヒアリングが活発に開催されるなど、野党共闘が強められたことは重要です。9条改憲阻止とともに、政治モラルの退廃や辺野古新基地建設にむけた蛮行に怒りを共有し、安倍政権を退陣に追い込む決意を新たにしています。そして「税の在り方と使い道」を正す世論と運動と相まって、「消費税増税は中止」の1点での新たな共同が広がろうとしています。
「税金の民商」として歴史を刻み、「平和でこそ商売繁盛」を信条として活動してきたのが民商・全商連です。
2019年の統一地方選挙と参議院選挙も展望するとともに、「世論と運動こそ政治を動かす力」であることに確信を深めて、新年を意気高く迎えましょう。