格差と貧困広げたアベノミクス
国民本位の経済政策へ転換せよ
自民党総裁選(20日投開票)に向け、安倍晋三首相と石破茂元幹事長との論戦が展開されています。見過ごせないのは、安倍首相が9条改憲へ前のめり姿勢を示すとともに、6年間進めてきた経済政策「アベノミクス」を景気や雇用などで「まっとうな経済を取り戻した」と自画自賛し、継続する意向を表明していることです。
アベノミクスの評価をめぐってはどの世論調査でも「景気回復の実感がない」が8割台を占めています。また、後継者不足や経営難から中小企業の「大廃業時代」が言われる一方で、大企業の内部留保が史上最高の425兆円(2017年)に達するなど、大企業と中小企業との格差拡大が指摘されています。
「大企業栄えて民滅ぶ」─。ゆがんだ経済政策の検証こそが求められています。なりふり構わず財政、税制、規制改革、金融政策などを進めてきた結果として、国民の暮らしは痛めつけられてきました。
労働法制の規制緩和推進により、非正規雇用者数が2036万人(12年比で223万人増)となり、労働者の実質賃金は4・5%(同年比)も低下しました。
一方、法人税率は引き下げられ、25%(12年)から23.2%(18年)に。16年の単年度で、租税特別措置と税率引き下げによる大企業への減税累計は14兆円を超える(「税制研究」8月号、菅隆徳税理士)-との試算も出されています。
異常な金融緩和の副作用として、政策転換後の金利上昇、国債暴落による金融機関の損失、利払い増大による国の財政収支悪化などが懸念されています。
安倍首相は、19年10月に予定通り消費税を10%に引き上げたいと明言しました。1世帯当たり年8.6万円もの負担増が予想され、個人消費が一層低迷し、地域循環型経済のカギを握る中小業者への大きな打撃となることは明らかです。
民商・全商連はアベノミクスについて、格差と貧困を拡大させる破綻した政策だと批判し、大企業優遇から国民本位へ根本からの政策転換を求めてきました。来年の参議院選挙を展望し、実態告発と消費税増税を許さない運動を強めましょう。