全国商工新聞 第3383号2019年10月28日付
全国の民主商工会(民商)青年部は、大きな夢を持って商売に向き合う業者青年の集まりです。多様な要求に応えて活動し、腹を割って語り合える仲間と出会える場になっています。各地で、全商連青年部協議会(全青協)第44回定期総会(11月17日)に向け、県商工団体連合会(県連)と県連青年部協議会(県青協)が共催し、民商サクセション(継承)企画に取り組んでいます。
補助金・助成金について、活用事例を含めて学んだ鹿児島の民商サクセション企画
鹿児島県連と鹿児島県青協は5日、鹿児島市内で民商サクセション企画を開催。8民商から21人が参加しました。学習会では、業者青年が興味を持つ「各種補助金・助成金」について、「鹿児島県よろず支援拠点」の向江隆行コーディネーターが講演。補助金・助成金の制度や内容、スケジュールを解説しました。
「歯科技工士の会社でのレーザー加工機の導入による加工精度の高度化」「お茶の製造会社での新商品(紅茶)製造のための乾燥機およびパック詰め機の導入」「店内のトイレを和式トイレから洋式トイレへ変更(飲食)」「販路の開拓へ東京や大阪で実施される展示会への出店費用や旅費(小売)」「情報発信のためのWEBサイト作成や予約受付サイトの構築(理容・美容)」など、向江さんが関わった活用事例も紹介しました。
補助金の審査委員の経験もある向江さんは「事業強化計画書を作っておくことが強みになる」と話し、「銀行融資の申し込みや自分の会社をよく知る上でも大事なこと」と強調しました。
学習会後は、交流会を開催。皮革製造業の夫婦は、自ら作製して愛用しているバッグや財布を紹介。参加者から「自分も作ってもらいたい」と商売にもつながっていました。
参加者からは「こんなに中身のある学習会とは思っていなかった。もっと、いろんな人に聞いてほしい」「次回は補助金申請書の書き方も学んでみたい」など、大変好評でした。
「業者青年が民商運動を理解し積極的に活動することで自営業者の未来を守れるよう、学習を旺盛に開催することが大事」との役員の感想が寄せられました。
学習とバーベキューで交流を深めた青森の民商サクセション企画
青森県連と青森県青協は9月29日、平内町夜越し山オートキャンプ場で民商サクセション企画を開催し、5民商から41人が参加しました。
青森県連の長内貞光副会長が「消費税増税・複数税率・インボイス」、佐藤新吉副会長が「働き方改革」について話しました。
長内副会長は「複数税率・インボイスは、われわれ業者にとって死活問題。お店で食べれば10%、持ち帰りは8%の複数税率は、区分するだけでも一苦労だ。煩雑な実務は経営を圧迫し、商売へ影響を及ぼす。民商へ結集し、帳簿付けなどをしっかり学んでいこう」と呼び掛けました。
佐藤副会長は「まずは労務時間の管理をきちんとできているか。タイムカードのみでは難しい点もある。仕事の準備なども含めた実際に働いている時間を事業主がきちんと把握する必要がある。有給休暇の取得は、一般的には6カ月で10日の権利が発生し、そのうち5日間は事業所側が付与しなければいけない。有休を与えないと罰則もある」と、重要な点を説明し、注意を呼び掛けました。
バーベキュー(BBQ)交流会では、ホタテや肉などを満喫。子どもたちはポップコーンで楽しく交流しました。「消費税増税後の実務は大変」「10月改定の最低賃金はクリアしている?」「最低賃金以上だけど、なかなか人が集まらない」など商売の近況も交流しました。
みんなで大きな輪をつくり民商音頭を踊った兵庫県連と兵庫県青協
兵庫県連と兵庫県青協は6日、民商サクセション企画を開き、24民商から71人が参加しました。
関西学院大学の佐竹隆幸教授が「地域になくてはならない持続可能な小規模事業者の経営戦略」と題して講演。現在の小規模事業者を取り巻く状況を「日本社会は人口減少を続けており、経済も衰退している。またグローバル化やアンビエント(情報化)社会への進展など大きな変化が起こっている」と解説し、「地域を発展させることと自らを発展させることの両方を考えていくべき」と話しました。
続いて、尼崎民商の土谷洋男会長が「会社勤めから独立創業。民商で青年部や支部の活動を行い、プロボクサーとしても活動するなどさまざまな体験をしてきた。『業者の地位向上のために』という思いで運動を続けてきた」と、人生・商売・民商を語りました。
最後に、今はあまり踊られなくなっている「民商音頭」を一同で大きな輪になり、映像を見ながらぎこちなくも楽しく踊りました。
全青協 議長 佐々木 亮
全青協定期総会が1カ月後に近付いてきました。
どんな集まりでも「少なければ寂しい、多ければ楽しい」という感覚があります。楽しさを肌で感じるには、今いる会員・部員の参加を「拡げる」のはもちろん、新たな「仲間をつくる」ことが必要です。
全国各地で「民商サクセション企画」が開催され、民商役員の経験と業者青年の発想と勢いで、多彩な企画が取り組まれています。「民商も青年部もにぎやかな方が楽しい」「民商は世代も業種も関係なくタメになる」という部分を、大きく広げるキッカケとなっています。
民商役員を中心に、多くの会員、青年部員が一緒になって考え、話し合い、共に行動して、初めて第一歩が踏み出せるのだと思います。民商と青年部が共同で進めていきましょう。
「業者青年に魅力ある民商・民商青年部」をつくり、持続的発展をめざして、みんなで頑張りましょう。
全商連 会長 太田 義郎
業者青年は商売の基盤がまだ薄いことから、法人化のメリット・デメリットや顧客の獲得などの経営の安定や向上、業者同士の交流を持ちたいという強い要求があります。民商は、人と人とのつながりが濃く、多くの人との出会いや学び、先輩の業者から話を聞くことができる利点があります。
民商が、青年部の活動を大いに支援していくことが必要です。各県で取り組まれている民商サクセション企画も、民商の協力がなければ成功しません。
知り合いの業者青年の紹介、行動に一緒に参加するなど、縁の下の力持ちのような支援が重要です。「責任は持つから大いにやれ」と青年部の活動を支えて、若い人を褒めて育てていきましょう。
青年部が頑張っている民商には未来があります。若い人が育ち、成長し、自信を付けて行くことで、民商の地力がついてきます。青年部を育てるのは民商の責任です。強大な青年部建設と民商・全商連運動の継承・発展に力を合わせましょう。