全国商工新聞 第3337号11月19日付
「青年と一心同体で」と話す岩下幸夫県連会長(左から3人目)を囲む福岡の青年部員
「商売を語り合える友人がほしい」「もっと経営を伸ばしたい」―。民主商工会(民商)青年部は、業者青年の夢や悩みを語り合い、知恵や工夫を学び合っています。福岡県連青年部協議会(県青協)は、9月に同県北九州市で開かれた全国業者青年交流会(交流会)の取り組みを機に、県連・民商との関係も強まり、仲間づくりが進んでいます。交流会成功へ奮闘した福岡県青協議長の山根祐紀さんの思いと、青年部員らの取り組みを紹介します。
次世代のコーティング塗料をパンフレットで説明する山根さん
船舶塗装や建築塗装、金属焼き付け塗装、住宅リフォームなど、幅広い事業を展開する「ユウキなかペインティング」(那珂がわ川市)を経営する山根さん。福岡市営渡船や大手の西日本鉄道株式会社をはじめ、大分や長崎、熊本など県外からも受注しています。
「10年先、20年先まで美しく」をコンセプトに、3年前から塗料メーカーと提携し試作していた次世代のコーティング塗料「ハイブリッドキーパープラチナシリーズ」が今年10月に完成。今までのガラスコーティング塗料、光触媒塗料にはない耐候性や耐汚染性を高めながら、安全で使いやすさを向上させた自社ブランド製品です。お客さんにモデル工事の協力を取り付けながら、販売施工に力を入れています。
山根さんが会社を立ち上げたのは2013年1月。中学を卒業後、船舶塗装の会社に勤めていましたが、倒産の危機に陥った際、先輩職人をリストラすることに「仕方がない」という態度で謝ることもない会社に失望。独立の考えを妻の一美さんに伝えると「あなたが決めたことなら、ついて行くだけやから」との後押しもあり、取引先もないまま独立開業しました。「どうせなら大きな会社に」と積極的な営業をかけて仕事をもらい、職人を雇って規模を拡大。現在13人の従業員を抱えるまでになりました。
「私たち職人が良いと思うもの、お客が求めているものを提供する」をモットーに、時には利益が出ない仕事も手掛けてきました。こうした営業努力を通じて信用・実績が認められ、大手からも指名が入るように。「この5年間で培った信頼関係を基礎にして、さらに事業を大きくしたい」と抱負を語ります。
懇親会で結束を固める福岡の青年部員
山根さんが民商に入ったのは独立してすぐのこと。前の会社でお世話になった田口剛史さん(福岡民商会長)=建築塗装=にあいさつに行くと、「これから困ることもあるやろう」と言って民商を紹介されました。田口さんに誘われて民商のイベントや企画に参加するようになり、青年部にも入部。昨年11月に、県青協議長になりました。
全商連青年部協議会(全青協)の幹事を引き受けると、いろんな人や業者との出会い、話を聞く機会が増えました。「自分の知らない業界の最新情報が得られたり、全国に知り合いができ、仕事の幅も視野も広がった。民商・青年部に入っているなら、役員を引き受けたりイベントにも参加して、積極的に表に出ていかないと損」と語ります。
9月に北九州市で行われた交流会は、仲間づくりや青年部建設など県青協の飛躍の機会になりました。民商から寄せられた「若手がいない」「青年部がない」などの声にも、「全国の仲間と出会い、成長できる絶好の機会。交流会の魅力を伝え、参加を組織しよう」と県連三役、県青協三役で話し合いを持ち、理解を深めてきました。
「交流会を成功させたいという意気込みに応えたかった」と話すのは、岩下幸夫県連会長。「青年部がやりたいことを民商に気軽に相談し、民商もそれに応える関係性が大事。先輩業者が持つ知識や経験を伝え、青年と一心同体で頑張っていきたい」と力強く語ります。
交流会成功に向けた取かすがなかり組みの中で、春日那珂がわ川民商に新入部員が生まれ、交流会後、さらに2人が入部。青年部設立に向け大きく動き出しています。山根さんの紹介で入部した野中義鷹さん=塗装=は「異業種の人とも交流できて楽しいし、同年代の集まりなので話しやすい」と言います。当面は福岡民商青年部がサポート。野中さんは「一緒に行動し、活動のノウハウを学びたい」と熱意を見せています。
「青年部の元気な姿を見て、こっちも頑張らないと」「自分たちも若返ったように思える」など、民商役員や共済会、婦人部から声を掛けられるようになった山根さん。「民商にも火が付いてきた」と実感しています。
「地域の人が参加できる青年部主催のイベントや集まりを持って、民商も大きくしていきたい」と意欲を見せています。