台風被害支援・全商連が経産省・中小庁に緊急要請

全国商工新聞 第3384号2019年11月4日付

迅速な支援を

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台風19号による被害復旧・経営再建への支援の要請書を中小企業庁事業環境部・奈須野太部長に手渡す全商連の橋沢政實副会長(右)

 全国商工団体連合会(全商連)は10月23日、台風19号による被害からの復旧と経営再建への支援を求め、経済産業省と中小企業庁に緊急要請を行いました。
 全商連の橋沢政實副会長が「東日本大震災の被災地の岩手や宮城、福島でも打撃を受けている。このままでは地域が疲弊してしまう。大きな力添えを」と被災県連から寄せられた6項目の要望の実現を求めました。
 中小企業庁の奈須野太事業環境部長は「19号の災害については激甚災害に指定しようということで、政府全体で対策のパッケージを取りまとめる作業を大車輪でやっているところ。今日いただいたご要望についても、これを追い風に政府に求めていきたい」と発言。
 災害復旧貸付の実施など5項目とともに、国と県が連携し中小企業の復旧費用を支援するグループ補助金、小規模事業者持続化補助金についても、予算措置をしたいとの考えを明らかにしました。この要請には、日本共産党の笠井亮衆院議員と岩渕友参院議員が同席しました。

「グループ補助金を創設」

経産省、中企庁に緊急要請

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台風19号による被害復旧・経営再建へ緊急の要請を求める全商連の橋沢政實副会長(左から3人目)、同席した日本共産党の笠井亮衆院議員(左端)と岩渕友参院議員(右端)

 全国商工団体連合会(全商連)は10月23日、台風19号による被害からの復旧と経営再建への支援を求め、経済産業省と中小企業庁に緊急要請を行いました。

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中小企業庁長官が視察した業者の記事も示して台風19号による復旧、経営再建への支援を求める全商連の橋沢副会長(右)

 要請には、橋沢政實副会長、中山眞常任理事と被災県の代表が参加し、中小企業庁の奈須野太事業環境部長が応対しました。
 橋沢副会長は、(1)グループ補助金や小規模事業者持続化補助金の創設と拡充・改善、使いやすい制度にすること(2)被災した設備の修理・再購入ができない業者に対し、同等の設備を国・自治体が購入し、無償で貸与する制度を導入すること(3)停電による商品被害に対し、電力会社などの責任にふさわしい負担を求め、救済策を講じること(4)自治体への財政支援を強化し、自治体独自の復旧・経営再建支援を応援すること-など5項目と、被災各県から寄せられた個別要請の実現を求めました。
 奈須野部長は「19号の災害については、政府全体で対策のパッケージを取りまとめる作業を大車輪でやっているところ。今日いただいたご要望を追い風に政府に求めていきたい」と述べ、グループ補助金や小規模事業者持続化補助金についても創設していく考えであることを表明しました。
 現在14都県で災害救助法の要請があった市町村に対しては緊急措置として、セーフティネット保証4号、公庫の災害復旧貸し付け、小規模共済の災害貸し付けの三つの金融措置と、政府関係機関の相談窓口の設置、既往債務の返済条件緩和等の対応の要請が行われています(別表参照)。さらに、今後、激甚災害に指定されると、それに伴う措置が上乗せされます。
 全商連が「被災した中小業者が廃業に追い込まれることのないように」と、第1の要望項目とした「グループ補助金や小規模事業者持続化補助金」については、「補正で予算措置をしたい。さしあたり予備費で取れればと思っている」と発言。
 関連し「昨年の西日本豪雨の場合は、広島県、岡山県、愛媛県を指定した。その地域に属する中小企業の方が使えるグループ補助金が創設された。グループは市町村単位である必要はなく、2社以上あればグループとして認定される」と述べ、西日本豪雨災害と同様のグループ補助金を創設する考えであることを明らかにしました。
 中山常任理事は「セーフティーネットにしても政策公庫にしても金利がかかる。無利子・無担保・無保証人で長期間で返済ができるものにしていただきたい。グループ補助金にしても持続化補助金にしても手持ち資金が必要になる。農林水産業はほとんどが公費で手当てされる。小規模企業振興基本法が制定されているところでもあり、個別支援へ踏み出してほしい」と改善を要望しました。
 橋沢副会長は商工新聞の紙面(10月28日号)を広げ、複数税率対応レジの導入3日後に、漏水で故障させた業者の窮状なども紹介しながら、「再建・再開を諦める業者を出さないよう力強い支援を」と求めました。
 奈須野部長は「要望に応えるように検討していきたい」と述べるとともに、雇用調整助成金の要望については、「特例が実施されることになったので利用を」と紹介しました。

中小企業等「グループ補助金」

 被災地域の中小企業等が、復興に向けた計画を策定するためグループを構成。当該グループに参加する事業者が行う施設復旧等の費用の4分の3(国が2分の1、県が4分の1)等を補助する。

小規模事業者持続化補助金

 被災地域の小規模事業者に対して、生産機械・冷蔵庫・車両購入・店舗改装、事業再開時の広告宣伝まで、幅広い経費の3分の2を補助する。「平成30年7月豪雨による災害」では、岡山・広島・愛媛の3県に所在する事業者は上限200万円、その他の災害救助法が適用された11府県では、上限100万円とされた。

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