中小業者の保護・育成へ
韓国中小企業団体と懇談

全国商工新聞 第3364号2019年6月10日付

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プレゼントを交換し握手を交わす李さん(右)と太田会長

 韓国の大・中小企業・農漁業協力財団の李冕憲(リー・ミュンフン)中小企業適合事業部長らが5月21日、全国商工団体連合会(全商連)を訪れ、自由競争の拡大と大企業の市場支配から中小業者の営業をどう守るのかについて意見交換を行いました。
 財団からは職員3人、中小ベンチャー企業部のソン・ジュンア氏ら総勢6人が来所し、全商連の太田義郎会長、岡崎民人事務局長、中山眞常任理事らが応対しました。
 同財団は2004年に設立され、日本の中小企業庁に当たる韓国「中小ベンチャー企業部」から委託を受けて、中小の事業領域を守る「中小企業適合業種指定制度」の運用を行っています。訪問は「大企業の進出から中小企業の営業をどう守っているか」についての調査が目的。
 太田会長が歓迎あいさつを行い、中山氏が、日本にも大店法や分野調整法などがあるが、構造改革と規制緩和が進んできた経過や中小業者の現状、関連した全商連の政策提案の内容を紹介しました。

大企業を規制する「適合業種指定」

 李氏は「中小企業適合業種指定制度」は業種指定によって競合する大企業・フランチャイズの出店を規制し小商工人(中小業者)を守ろうとするもので、13年初めには製パン業が指定され、製パン店から半径500メートル以内に大手製パンチェーンが出店することを規制。これによりまちの製パン店は2年間で1641店舗(16%)増加し、売り上げも28.8%伸びたことを紹介。この制度によって108業種・70万社(者)、うち飲食店が40万社(者)が守られてきたものの大企業が業種削減を狙っている現状などを説明しました。
 太田会長は、「日本では大店法などが骨抜きにされ中小業者が衰退してきた。地域経済を元気にするためにも頑張ってほしい」と激励しました。
 また、懇談の中では、韓国政府が行っている最低賃金引き上げに伴う中小業者支援策についても話題になり、「従業員30人未満の中小業者に対して社会保険加入を条件に、税金で賃金の一部を直接補填する予算として4兆?(19年、約3600億円)を支出。社会保険料では、従業員5人未満は90%、5~10人未満は80%の事業主の負担を減額する制度がある」ことが紹介されました。

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