【談話】与党「税制改正大綱」に断固抗議する

2019年12月13日
全国商工団体連合会
事務局長 岡崎民人

 自民・公明両党は12日、「令和2年度税制改正大綱」を発表した。生活費非課税や応能負担の原則を税制に貫く姿勢はみじんもなく、大企業への減税を拡充する提案に断固抗議する。
 大綱は、大企業がベンチャー企業に1億円(中小企業は1000万円)以上投資すれば、出資額の25%を課税所得から控除する新たな投資減税(オープンイノベーションに係る措置)を打ち出した。5G(高速・大容量の通信を可能にする第5世代移動通信システム)の導入に必要な設備を取得した企業への減税(取得価格の15%を税額控除または30%の特別償却)策も盛り込まれている。
 巨額な内部留保を蓄える大企業にさらなる減税をもたらす税制は、税の公平原則をゆがめ、格差を広げるだけであり、許しがたい。
 また、安倍首相主催の「桜を見る会」で税金の私物化が大問題になったが、大綱には税金の使い道を正す意思は全く見受けられない。軍事費を毎年増大させる一方で、必要な社会保障費を削減するなど、自公政権による税金の使い方は、憲法が定める国民の平和的生存権と福祉の向上に反しており、直ちに正すべきである。
大綱は、「消費税率10%への引上げを経て、財政健全化に大きな道筋をつけてきた」というが、国の債務は増え続け、税収不足による新たな赤字国債の発行も取りざたされている。10%への消費税増税や複数税率の強行とキャッシュレス決済が混乱と倒産・廃業を広げていることも大問題である。与党は、税制によって中小業者がつぶされ、地域経済が疲弊するという深刻な事態を直視すべきである。
 そもそも税制には「生活費非課税」「応能負担」の原則が貫かれなければならない。消費税は、低所得者ほど負担が重い最悪の不公平税制であり、「税率引き下げ・廃止」にこそ道理がある。
民商・全商連は、消費税に頼らない財源提案を広く国民に訴えながら、消費税率5%への引き下げ実現に全力を挙げるものである。そして、「納税者の権利宣言」(第5次案)で示したあるべき税制・税務行政の実現に向けて奮闘する決意を表明する。

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