全国商工新聞 第3339号12月3日付
全国商工団体連合会(全商連)は11月25日、都内で第3回常任理事会を開き、次の決議を採択しました。
この秋、改憲・大増税阻止を前面に、危機打開と組織の成長・発展をめざして奮闘してきました。
沖縄県知事選挙を全国支援でたたかい、玉城デニー知事の実現に貢献しました。辺野古新基地建設反対への揺るぎない民意が示されるとともに、安倍暴走政治に痛打を与え、市民と野党の共闘発展への展望をひらいたことは重要です。
安倍政権は、森友・加計疑惑にいんぺい限らず、ウソや隠蔽を重ねて政治モラルを失墜させてきました。貧困と格差を拡大しつつ、年金積立金と日銀の「公的マネー」が日本の多くの大企業の筆頭株主となる異常な事態を招いてきました。露骨な対米追随で米国製・高額兵器を「爆買い」しながら、日米2国間の自由貿易協定でも譲歩し、経済主権を売り渡しかねない恥ずべき外交姿勢を示しています。
安倍首相は、憲法尊重擁護の義務さえ投げ捨てています。国会での数の横暴や行政府に対する専制支配を許すわけにはいきません。「税金の民商」として歴史を刻み、「平和でこそ商売繁盛」を信条として活動してきた民商・全商連の本領を発揮し、消費税増税と改憲の策動を打ち破ります。
秋の運動から教訓を導き出し、立憲主義回復と持続可能な社会をめざす「共同の時代」に応え、強く大きな民商・全商連の建設に挑戦します。
相次いだ被災からの経営・生活再建に力を合わせるとともに、防災・減災を含む仕事・資金の獲得や循環型経済施策を求める懇談・要請を広げてきました。大増税・改憲の策動に学習で怒りをわかせ、宣伝・対話や申し入れへと打って出たところで共同の輪を広げてきました。
助け合い相談を強め、大増税・改憲阻止の共同と危機打開の運動を発展させます。2019年の統一地方選挙と参議院選挙を切実な要求実現の機会とし、安倍政権を退陣に追い込む力にします。
費税10%・複数税率・インボイス実施に向けて、安倍首相自ら決意を表明して以来、反対・阻止の世論と運動が急速に盛り上がっています。
政権与党が検討する「増税実施の景気対策」もクレジットや住宅、自動車など特定の業界大手をもうけさせるだけで、景気の底割れや商売の大混乱を防ぐ力にはなりません。
19年10月からの消費税10%反対の1点で、広範な個人・団体との共闘をめざすネットワークづくりが始まっています。新たな署名や共同行動を開始します。引き続き、学習、宣伝・対話、議員要請、地方議会での意見書採択、国会での中止決議を迫ります。
10%への税率引き上げが中止されれば、複数税率やインボイスを実施する根拠が失われます。逆に、複数税率が実施できない状況をつくり出せば10%への引き上げ自体見直さざるを得なくなる可能性が生まれます。消費税の納税義務者である事業者の協力なしには消費税という税制は成り立ちません。商工新聞号外や「教えて湖東先生」DVDを使って複数税率とインボイス制度の害悪を学び合い、業者団体・商店街との対話に打って出ます。「税制で商売をつぶすな」の大運動を巻き起こし、税率引き上げを断固阻止します。
徴税権力が、免税点制度や簡易課税制度を中小業者への恩恵であるかのように宣伝していることは許せません。業者団体との懇談では、広範な中小業者が最低生活費を確保し、過重な納税協力コストを避ける当然の措置であり、その拡充こそ求められていることを知らせます。
自主計算パンフや法人決算パンフ(改訂版)を積極活用し、記帳を要求運動として正しく発展させます。倉敷民商弾圧事件に勝利すねやるための支援を強め、禰屋裁判での公訴取り下げをめざします。
納税緩和制度の活用を広げ、税や社会保険料の強権的な徴収を是正させます。「全世代型」の名による社会保障解体に反対し、国保料(税)の均等割をなくすなど「協会けんぽ並み」に引き下げることを求めます。
消費税増税中止をはじめ、税の在り方と使い道を正す世論と運動を巻き起こすため、3・13重税反対全国統一行動を全会員参加と広範な階層との1日共闘で大きく成功させます。
「商売を続けていることが社会貢献」と励まし合い、仕事と資金の獲得への挑戦を広げてきました。
異常気象や風水害、地震が相次ぐ中、被災地では安否確認・救援から経営・暮らしの再建へと助け合いの相談活動を展開してきました。
国・自治体の予算編成に留意し、エアコン設置やブロック塀対策、リフォーム・リニューアル助成の施策も生かして、分離・分割発注で住民要求に応える仕事の獲得に力を合わせます。自治体連携型・持続化補助金の創設やものづくり補助金などの制度に対する学習と事業計画づくりを強めます。
被災者に対する支援金の増額や制度の要件緩和を求めます。
自治体要請を継続し、種子条例や自然エネルギー条例、公契約条例など循環型地域経済の政策提案を強め、自由貿易協定から地域を守ります。
条例に基づく支援団体として認められた県連が、県による意見聴取の会議に招かれ、堂々と中小業者の実態と要求を紹介しています。小規模企業振興条例の制定と拡充を求め、支援団体に認定するよう要求します。
業界団体との懇談を進め、業種別・問題別の課題をつかみ、要求解決に取り組みます。社会保険加入を許可や更新の要件にする建設業法「改正」案の次期通常国会提出など、危険な動きを広く知らせ、社会保険の加入強要につながる策動を阻止します。金融機関への申し入れを強め、融資獲得を応援します。緊急切実な要求と署名を全中連・中小業者決起大会(19年2月6日、東京・砂防会館)に持ち寄ります。
自民党は、289の衆院小選挙区に「憲法改正推進本部」を設置し、改憲への世論づくりに乗り出しました。安倍首相を支援する極右団体=日本会議は憲法改正賛同署名を1000万人分集め、活動強化の号令を発しています。
憲法9条に自衛隊の存在を書き込めば、戦力を持たないと決めた9条2項は死文化し、自衛隊による海外での武力行使に歯止めがかからなくなります。「3000万人署名」を早期に、1会員10人分集めきり、改憲発議を阻止します。
5兆5000億円にも上る軍備拡大、オスプレイ配備・訓練、辺野古新基地建設など戦争する国づくりに反対します。
翁長雄志沖縄県知事(当時)の働き掛けで7月に採択した全国知事会の提言を力に、「在日米軍に特権を与える日米地位協定は改定せよ」の自治体請願に取り組みます。
政府に核兵器禁止条約への署名・批准を求める意見書が320以上の自治体で採択されています。ヒバクシャ国際署名を推進し、核抑止論に固執する安倍政権を世論で包囲し、条約批准を迫ります。
統一地方選挙と参議院選挙を視野に入れ、すべての政党・会派、議員・候補者に中小業者の実態と要求を届け、「野党は共闘」の働きかけを強めます。
この間、第53回総会方針に確信を深め、助け合い相談と毎月の持続拡大を推進してきました。
「成長・発展目標」の討議を生かして、民商・全商連の「値打ち」を多くの会員のものとする行動を起こしたところで、会勢前進への展望を広げてきました。全商連は19年5、6月に、民商・全商連の屋台骨を担う大勢の役員・活動家が集う第4回地方別活動交流会(全国6会場)を開催します。この活動交流会を結節点に、民商・全商連の存在意義を示す持続拡大に挑戦し、全商連創立68周年(19年8月3日)を読者25万人・会員18万人の突破で迎えるために力を尽くします。
秋の運動は、10月に読者が全国増勢に転じました。第1回理事会決議が呼び掛けた読者・会員の年間増勢を追求しつつ、「仲間を増やして悪政に反撃」の立場から、全ての民商が春の拡大運動で毎月、読者と会員の増勢を積み上げていく取り組みに挑戦します。
民商・全商連は中小業者の道理ある全ての要求を取り上げる構えを持つ組織です。出足早く打って出られるよう、年末・年明けのあらゆる集まりで、商工新聞にも学んで運動への確信を深め合い、「仲間が増えて、みんな笑顔」となるよう拡大対象者の紹介を呼び掛けます。
要求を掘り起こし、広範な中小業者が「民商に相談しよう」と思える宣伝を工夫します。署名を持っての対話行動に参加する会員を増やします。宣伝費用捻出への協力を全会員に広く呼び掛け、多彩な宣伝で民商・県連・全商連の取り組みが相乗的な力を発揮できるようにします。
全商連は、商工新聞の春号外を作成・普及します。また「目に見え、音に聞こえ、口コミで話題となる」よう、HPやSNSでも音源・動画・漫画を発信しウェブの投稿と分析を強めます。
業種別・問題別の消費税対策や「法人化のメリット・デメリット」など、学習・相談の機会を設けて会内外に広く呼び掛け、仲間に迎え入れる力にします。
「春の運動」DVDで大勢の会員に民商がさまざまな相談に乗れる存在であることを知らせます。「ようこそ民商へ」のパンフやDVDで新会員にも民商の多彩な魅力を知らせます。機関会議と班・支部の連携を強め、円滑な報告・連絡・相談を通じてチームワークを強めます。商工新聞中心の活動や班・支部など身近な集まりでの親睦と相談、仲間の頑張りや相談の中身がわかるニュースの発行を促進します。
全商連と全商連共済会の連続総会から約半年が経過しました。「いのちと健康を守る学習交流会」などで、医療や介護の劣悪な実態を学ぶ機会を増やすとともに、経営と暮らし、健康の一体的な向上へ社会保障の改善を求めてきました。また、仲間からの声掛けをきっかけに健診を受け、病気の早期発見につながって命拾いしたという経験も広げてきました。民商・全商連共済の役割を学び、助け合いの輪を広げます。「班の共済係・支部の共済役員」を増やし、健康を守り合う力を高めます。
婦人部は、全婦協第32回総会を軸に、業者婦人の地位向上と民商・全商連運動への貢献、女性の共同の発展に力を発揮してきました。粘り強い取り組みを通じて500を超える地方議会で、所得税法第56条廃止の意見書を採択させ、消費税の害悪を告発する宣伝・対話でも業者婦人の底力を発揮してきました。暮らしと営業の見直し運動と婦人部員拡大を中心に支援を強め、家族一人ひとりの要求を大切にし、その実現に力を合わせる民商建設を進めます。
第15回全国業者青年交流会は、起業や事業の承継で頑張る若者たちの出会いを広げ、笑いや学び合いを通じて、商売や運動に一歩踏み出す勇気を培う機会となりました。多くの業者青年が、さまざまな困難を乗り越え、自信を持って商売と民商・全商連運動に力を発揮できるよう、すべての県連で、「民商サクセション(継承)」企画を練り上げ、「業者青年に魅力ある民商建設」に生かします。
来る全商連・地方別活動交流会では、「共同の時代」に応える立場から、共済会・婦人部・青年部の諸活動にも焦点を当てた分科会を設定します。打って出る取り組みを相乗的に発展させ、運動と組織の高揚の中で活動交流会を迎えます。
全商連別館の改修工事が始まりました。「創立70周年に向けた会館建設の成功を祈ります」「中小業者の営業と暮らし、権利を守るとりで運動の砦となる会館建設は意義あること」など、募金とともに期待の声が寄せられています。民商・全商連運動を次世代に引き継ぐ一大事業として会館建設を成功させます。
年末・年度末に向け、「仲間から一人の犠牲者も出さない」構えで心を集める財政活動を強めます。