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調査
深刻な経営実態浮き彫りに
06年下期営業動向調査
売り上げ・利益とも悪化
原材料・仕入値高騰が拍車
 全国商工団体連合会(全商連)付属中小商工業研究所は「06年下期・営業動向調査」を9月に実施し、784人から回答が寄せられました。政府は戦後最長の「いざなぎ景気」(1965‐70年)に並ぶ景気拡大が続いていると判断していますが、同調査では売り上げや利益減少などに苦しむ中小業者の厳しい実態が浮き彫りになりました。



都内の商店街。店主らはにぎわいを失わないように商売に励んでいます
「原材料・仕入値」の高騰が経営圧迫
 今回の調査で明らかになった特徴の一つは、「原材料・商品の仕入値」が「上がった」が54・6%と、調査開始から初めて50%を超えたことです(前回調査比10・6ポイント増)=図1。こうした状況を反映し、「この間とった経営対策」として「販売価格の引き上げ」が9・3%(1・8ポイント増)となっています。また、「経営上困っている事」では17・5%が「経費の増大」を選択しています(前回比5・8ポイント増)。業種別では、建設業と宿泊・飲食業で前回調査比20ポイント以上増加するなど顕著になっています。

実態とかけ離れた政府「景気回復」
 「売り上げ」が「減った」のは58・7%で3・4ポイントの増加(前回調査比)。また、「利益」が「減った」は63・4%で3・8ポイントの増加(同)で、「中小業者経営が立ち直りを見せている」とした前回調査から一転し、売り上げ・利益ともに悪化傾向にあることが明らかになりました=図2。
 「景気は回復している」(10月月例経済報告)との政府の判断からはかけ離れ、コスト削減などによって利益を生み出している大企業と原材料の高騰を十分価格に転嫁できない中小業者との格差がさらに広がっていることを示しています。

国保料の支払いがくらしにしわ寄せ
「くらしで困っていること」で一番多かったのは国保料(税)などの「保険料の支払い」(29・2%)でした。続いて、26・8%が「生活費」を上げています。
 生活費の捻出が困難な上に、国保料(税)の大幅な値上げが、滞納を増加(1・2ポイント増)させる原因になっています。

借金で消費税を支払う「全額納税」の実態
 「改悪」消費税法の下で新規課税業者が初めての申告を終えたこともあり、「経営上困っていること」として「消費税問題」を選択したのは23・2%(前回比7・2ポイント減)でした。
 消費税の納税状況(免税業者を除く)では「全額納税」が79・1%(前回比2・2ポイント増)。一方で「滞納している」は5・0%(前回比1・1ポイント増)と増加傾向にあります。税務署の強権的な発言や財産の差し押さえを恐れ、友人などからの借金で支払っている状況もあり、「ひとこと」欄(自由回答)には「全額納税」増加の背景が垣間見えます。「やむにやまれず消費税を支払い、生活費さえ残らないというのが多くの中小業者の実態です」などの深刻な声が寄せられています。
 
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