マイナ保険証作りたくない…!これまでの健康保険証は使えない?
資格確認書って?登録解除も!QA解説! <全国商工新聞より> ​


トラブルばかりのマイナンバーカード、保険証機能を持たせるのは危険…!

<注>このWEBページは、「全国商工新聞」の報道をベースに制作しています。
2022年に公開し、24年9月にQ1、Q6、Q10、同年11月さらにQ1を加筆・修正しました。

 マイナンバーカードに、健康保険証機能を一体化させた「『マイナ保険証が無いと、12月からは診ることができない』と言われた」「12月から、紙の保険証はなくなるの? マイナ保険証は怖くて持ちたくない」―。こうした相談が、各地の民主商工会(民商)に相次いでいます。

 自公政権が、取得は任意のはずの「マイナ保険証」を、ごり押ししようとしているからです。12月からの健康保険証の扱いや政府の狙い、求められる運動などをQ&Aで解説します。

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Q1 24年12月2日から、これまでの健康保険証は使えなくなる?

A ・12月2日に廃止されるのは、これまでの健康保険証の「新規発行」
  ・その時点で有効な健康保険証は最長1年間使用可
  ・その後は申請不要の「資格確認書」が最長5年有効
  ・24年10月以降は登録解除の申請受付開始

 12月2日に廃止されるのは、これまでの健康保険証の「新規発行」です。その時点で有効な健康保険証は、最長1年間使用できます。
 さらに、これまでの保険証の有効期間が切れた後は、各保険者から申請不要の「資格確認書」が交付され、引き続き、これまで通りの医療を受けられます。「マイナ保険証が無ければ、窓口でいったん〝10割負担〟で支払う」ようなことは、ありません。
 資格確認書は、氏名や生年月日、被保険者記号と番号、保険者情報などが記載された、被保険者資格を確認するものです。サイズはカード型、はがき型、A4型の3種類ですが、材質・形状とも、これまでの健康保険証と基本的に同様となります。

 図1は、全国健康保険協会(協会けんぽ)が示した資格確認書のイメージです。色こそ、健康保険証の青色から黄色に変わっていますが、記載内容も、形状も「そっくり」です。マイナ保険証を持っていない人やマイナンバーが未登録の人などを対象に、手元にある健康保険証の有効期間が切れる前に、申請などの手続きをすることなく、保険者が無料で交付します。有効期間は5年以内で、各保険者が設定します。マイナ保険証の取得者には、資格確認書は交付されないので要注意です。
 そもそも、マイナンバーカードの取得は任意であり、義務ではありません。住民票がある市町村窓口でカードを返納することができます。

●マイナ保険証の登録解除ができます

10月28日から、マイナ保険証の登録解除ができるようになりました。
健康保険証に記載されている「保険者」に「マイナンバーカードの健康保険証利用登録の解除申請書」を提出することで、マイナ保険証の利用解除ができます。市町村国保組合は、組合の窓口で申請することができます。
申請書を提出後、1カ月程度(予定)でマイナ保険証の利用登録が解除され、資格確認書が保険者から交付されます。

Q2 「マイナ保険証」って何?

A マイナンバーカードに健康保険証機能を加えたもの

 「マイナ保険証」とは、現在の紙またはプラスチック製の健康保険証を廃止して、マイナンバーカード(カード、図1)を保険証として利用するものです。

 カードに直接、保険証情報を入れるのではなく、個人情報を紐付けることで一体化させます。カード裏面のICチップに搭載された電子証明書を医療機関にあるカードリーダー(右の写真)に読ませ、顔認証または暗証番号の入力で本人確認をし、患者の資格情報等を取得します。このシステムは、21年10月に本格導入されました。
 6月に閣議決定した「骨太の方針2022」では「保険証の原則廃止を目指す」と明記されました。しかし、厚生労働省(厚労省)はこれまで「現行の保険証も利用できる」との認識を示していました。
 ところが、河野太郎デジタル相は10月13日、閣議後の記者会見で、カードと健康保険証の一体化に向けた取り組みを前倒しするために、保険証を「廃止」するとして、その期限を24年秋としました。国民皆保険制度の下で、保険証を廃止し、カードと一体化することは、カード取得の強制にほかならず、カードの取得は「任意」と定めた番号法にも反するものです。
 世論調査(紀尾井町戦略研究所)では「マイナ保険証への一本化でいいと思う」29.3%に対して「現行の保険証を廃止せずマイナ保険証と併用がいい」が34%、「マイナ保険証は不要」が27.7%を占めています(図2)。

Q3 なぜ「マイナ保険証」にしようとしているの?

A マイナンバーカードを普及するため

 この間、政府はマイナポイントなどでカードの取得を進めてきましたが、思うように進んでいません。保険証廃止をカード普及のための起爆剤にしたいのです。
 政府の「デジタルガバメント実行計画」(20年12月閣議決定)では、マイナ保険証を皮切りに、医療や介護、労働分野にとどまらず、運転免許証など各種資格から、果ては図書館の利用券まで、各種カード類の一体化を進め、最終的に、「唯一」の身分証明書としていく計画です(図3)。

 カード取得率が上がらない要因は、個人情報を全て個人番号に紐付けして、情報が守られるのかということに強い懸念があることです。
 デジタル庁が1~2月に実施したネット調査では、カードを取得しない理由で一番多いのは「情報流出が怖いから」(35.2%)です(図4)。実際、3月にはデジタル庁が管理している認証サービスでさえ個人情報の漏洩を起こしています。

Q4 「マイナ保険証」の利用は進んでいるの?

A 利用者はわずか3%

 「マイナ保険証」を医療機関で使えるようにするには、医療機関が「オンライン資格確認」システムに接続する必要があります。顔認証付きカードリーダーの導入などが求められており、小規模な医療機関には重い負担となっています。そのため10月23日時点で「マイナ保険証」が使える医療機関・薬局は全国で約7万5千件。国内の医療機関・薬局約23万件のうち約3割にとどまっています。
 全国保険医団体連合会(保団連)は、マイナンバーカードを健康保険証として使うオンライン資格確認システムの原則義務化を医療機関に求めている問題について、医療現場の実態・意識調査に取り組みました(10月14~31日)。医療機関1721件のうち、保険証廃止に反対するのは73%に上り、オンライン資格確認システムを導入した医療機関のうち41%でトラブルが発生し、「利用患者はほとんどいない」が85%を占めている実態などが明らかになりました(図5)。

 世論調査(紀尾井町戦略研究所)ではマイナ保険証の対応で最多は「利用登録をしたが、まだ使っていない。もしくは使える医療機関が見つからない」が35.3%で、「利用登録して、すでに使っている」はわずか3.3%でした(図6)。

 岸田首相は「マイナンバーカードを持たない人には新しい制度を用意する」としていますが、「現行の保険証を廃止してまで新しい制度がなぜ必要なのか」など批判が沸き起こっています。
 全国中小業者団体連絡会の交渉(11月7日)で、厚労省は「カードがない人に対しては、“保険証に代わる何か”を提供することになるとしか言いようがない。今後、検討する」との説明に終始し、代替案がないことが浮き彫りになりました。

Q5 マイナンバーカードの取得は進んでいるの?

A 取得は6割に満たない

 「え?まだ?そろそろ、あなたもマイナンバーカード」。政府は、テレビCMや新聞の全面広告を使ってマイナンバーカードの普及に躍起になっています。
 カード作成とキャッシュレス決済の登録で最大5千円分がもらえるマイナポイント第1弾に続き、最大2万円分がもらえる第2弾を6月30日にスタート。
 しかし、カード申請受付数の推移は図7の通りです。政府は23年3月末までに「ほぼ全ての国民が取得する」ことを目標にしていましたが、カードの普及率は57.8%(11月4日)にとどまっています。

 マイナポイント第1弾は、予算の増額や期間延長を繰り返し、2500億円(5千万人分)の予算で実施されましたが、利用者は2531万人にとどまりました。にもかかわらず、第2弾を9500万人が利用すると想定し、1兆8千億円もの予算を注ぎ込んで開始させました。
 政府は「保険証利用も公金振込口座の登録も便利になる」と宣伝しますが、本当に便利ならポイントを付与しなくても、カード作成は進むはずです。21年3月に申請受付数が急増していますが、マイナポイントを利用するためのカード取得の締め切りが3月だったためです(4月に延長)。ポイントをぶら下げなければ、カード作成が進まないのは、国民にとって利便性がないことの表れです。
 国会でも野党から「2兆円あれば、どれだけ困窮者支援ができることか。国立大学の授業料を無償化でき、学生たちに返済不要の十分な奨学金を給付できる」などと指摘され、「天下の愚策」と批判されました。

Q6 政府はなぜ、そこまでしてマイナ保険証を強要するの?

A マイナンバーカードを普及させ、国民の各種個人情報を一元管理し、大企業の“もうけのタネ”にするため

 政府が、マイナ保険証を国民にごり押しするのは、マイナンバーカードを普及させるためです。マイナンバーカードを「デジタル社会のパスポート」と位置付け、運転免許証との一体化やスマートフォンへの搭載など、今後さらに利用拡大を狙っています(図2)。
 一方、マイナ保険証を巡っては、国の総点検後も多数のトラブルが発生し続けています(図3)。

 その典型は、昨年度の補正予算で217億円を計上した「マイナ保険証の利用促進支援策」です。医療機関や薬局が、ポスターやチラシを張り出したり、窓口で声掛けを行ったりして利用者を誘導し、マイナ保険証の利用率が一定数以上増加した事業者には一時金が自動的に支給される仕組みです。医療や薬局の窓口で「マイナ保険証が無いと、今後、受診できなくなる」などの誤った説明が行われ、利用者を混乱させる事例が多発しています。医療現場からは「カネで頬を張るような、やり方だ」「現場を分かっていない」などの批判が上がっています(左の別項)。
 マイナンバーカード普及の狙いは、各種の個人情報を一元的に管理し、国民監視を強め、大企業の〝もうけのタネ〟にすることです。経団連は「デジタル化の推進を通じた官民の生産性向上と効率的な資源配分が不可欠」(2018年2月20日)として、マイナンバーカードを推進。個人情報を、もうけの拡大に利用する狙いが透けて見えます。
 個人情報の一元管理によって、徴税強化と社会保障の給付削減も狙っています。住民登録証(日本のマイナンバーカードに相当)や電子インボイスが義務化されている韓国では、事業者間の取引履歴を国が把握し、税務署が「記入済み申告書」を作成し、納税者に提供しています。

Q7 マイナンバー、必ず持たなくてはダメ? 確定申告はマイナンバー未記載でも大丈夫?

A 取得義務は無し。マイナンバー未記載でも確定申告書は受理、未記載を理由に不利益は生じない。

 カードは、国内に住む全ての人に割り振られた12桁の個人番号や氏名、住所などが記載された顔写真付きのものです。事業者には従業員の番号管理が罰則付きで押し付けられました。
 「番号法」では「政令で定めるところにより、住民基本台帳に記録されている者の申請に基づき」発行されることになっています(16条の2)。カードを取得するかどうかは本人の自由で、義務ではありません。同法では、行政手続きにおいてマイナンバーの提供を求めることは、原則禁止されています(第15条)。カードを取得していても、「いらない」と思えば、いつでも住所地の市町村に返納することができます(同法施行令15条の4)。
 一方、税務署は、個人番号の利用事務である税の書類に個人番号の記載を求めることができます(個人番号利用事務)。国税通則法や所得税法などによって、確定申告書や法定調書等の記載事項として、個人番号が追加されました。国税庁は「個人番号の記載は義務」としていますが、未記載でも罰則はありません。
 民商・全商連はこの間、国税庁や各地の税務署と交渉し、「個人番号が未記載でも確定申告書を受理する。未記載を理由に不利益は生じない」ことを確認してきました。
 社会保険や国民健康保険(国保)、雇用保険、労働保険などの手続きでも、個人番号が未記載でも書類を受理しています。ハローワークのチラシでは「従業員が個人番号を提出しないことを理由にして賃金不払いなどの不利益な扱いや解雇などは、労働関係法令に違反または民事上無効になる可能性がある」ことを明らかにしています。

Q8 マイナンバー、中小業者への影響は?(1)

A 無償で運用・管理する義務を負う

 1人の従業員でも個人番号を扱う事業主はすべて「個人番号関係事務実施者」として、以下の事務を無償で負うことが義務付けられます。①従業員・パート(扶養家族も含む)などから個人番号の提供②厳格な本人確認③確定申告書などに個人番号を記載して提出(図2)④外部に流失しないよう日常的に管理⑤従業員などが退社した場合など番号を確実に廃棄、さらに情報が漏れた場合、最長4年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金が科せられます。

Q9 マイナンバー、中小業者への影響は?(2)

A 費用負担も増大し、労使関係も心配

 事業主が従業員などの個人番号を管理するためには事業所内の書類の管理を徹底し、セキュリティーなどに対応したパソコンソフトへの切り替えなどが必要になります。その費用は従業員数「5人以下」でも40万円台。他にもシュレッダーや頑丈な金庫などの備品も必要となり、厳しい経営を強いられる小規模事業者にとっては大変な負担増になります。
 個人番号の提供を拒む従業員などとの仲たがいも予想され、良好な労使関係にひびが入ることも心配です。

マイナンバー対応にお悩みの方は民商へご相談を!
民主商工会(=民商)は、自営業・小企業・フリーランスなど、小規模な事業者が助け合い、励まし合って、営業と暮らしを守る団体です。
▶民商って?

Q10 マイナ保険証のごり押しをやめさせ、現行の健康保険証を残すには?

A 署名やステッカーなどをさらに広げ、国民の反対世論を大きくすることです

署名にもご協力を!

 日本を除くG7諸国(フランス、米国、英国、ドイツ、イタリア、カナダ)では、プライバシー侵害に対する国民の強い拒否感があり、あらゆる個人情報をまとめたカードは存在しません。
 日本におけるマイナ保険証の利用率は7月単月で11.1%で、国民の9割が使用していません。中央社会保障推進協議会によると、現行の健康保険証の存続等を求める地方議会での意見書採択は、少なくとも35都道府県の178自治体に広がっています(7月10日時点、図4)。
 これらを見ても、現行の健康保険証を廃止できる状況にないのは明らかであり、引き続き「マイナ保険証ごり押しNO!」の国民の意思を示すことが重要です。
 全国商工団体連合会(全商連)も加わるマイナンバー制度反対連絡会は、「現行の健康保険証を残してください」の1点で署名運動に取り組んでいます。開業医の団体である全国保険医団体連合会(保団連)は、現行の保険証を使用する意思を示すステッカーを作製・普及しています(図5)。
 さまざまなツールを駆使して世論を広げ、現行の健康保険証を存続させ、マイナ保険証のごり押しをやめさせましょう。

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