全国商工新聞 第3329号9月24日付
「集まって話し合うことでアイデアが生まれる」─。岩手・一関民主商工会(民商)では集まって補助金獲得や経営改善に挑戦する「経営強化学習会」を開催しています。その成果として、小規模事業者持続化補助金(持続化補助金・7月19日結果発表)に挑戦した7人全員が採択を勝ち取りました。8月24日には、持続化補助金の獲得・成果学習会を開催し、11人が参加。4人が採択事業の内容や展望を披露しました。
持続化補助金獲得の体験を語り、学び合った一関民商の成果学習会
はじめに、S常任理事=自動車販売=が「一関市内で今回採択を受けたのは22社。うち7人が民商会員で、構成比31.8%を占める画期的な成果に。教訓を皆で学び合い、経営のさらなる発展をめざしていきましょう」と呼び掛けました。
補助金の採択者が、採択事業のプロセスやターゲットとする顧客階層、将来の展望などを報告しました。
トップバッターを務めたKさん=宣伝・サービス=は、大手企業との競合を避け、地域の顧客をターゲットとし、相手をよく知り、効果的な宣伝方法を提案する流れを事業化。2回目の採択が得られたことを話し、「人間関係が希薄になっている今だからこそ、血の通った営業活動にチャンスがある」と力強く語りました。
Gさん=林業=も2度目の採択。木材の伐採等で生じる残材を薪として加工し、新規に販売する新規事業を考案したことを報告しました。
「ひとり6次産業」として、農産物の生産、ドレッシング加工、販売までを一人でこなすWさん=食料品製造販売・農業=は、商品が県主催のコンテストで賞を受けるなど評価を得ています。一方、コストが割高で価格競争力で不利になる、宣伝・広告が弱く大量受注・販売には至っていないことから、弱点を克服する新事業について発言。「顧客ターゲットの明確化とピンポイントの宣伝」と新事業のポイントを話しました。
「少子高齢化やファストファッションの台頭でクリーニング自体の需要が急減し、経営改善の必要性を痛感していた」というのはSさん=クリーニング。「大手チェーン店では取り扱えない衣服のクリーニングと宣伝の強化」を具体化したことを報告し、「今後も頑張っていくために、今いちど地域の顧客との結びつきを強め、貢献していくことが必要ではないか」と提起しました。
S常任理事が「いずれも自分の利益追求にとどまらず、営業を通じて地域に貢献することを心掛けている。地域の中小業者が発展をめざす上で、大いなるヒントを与えるもの」とまとめ、「こうした新しい動きが、民商の運動から生まれつつあることに確信を持ち、仲間を増やしていこう」と力強く呼び掛けました。
参加したIさん=パン製造・販売=は「皆さんが計画的な経営に取り組んでいることに驚いたし、何よりも顧客を大切にしていることに感銘を受けた。自分も頑張りたい」と刺激を受けた様子。経営革新や補助金の活用方法などに関する討論が続き、大いに盛り上がりました。
報告者が「販路拡大のアイデアを生むきっかけになった」と強調したのが、昨年9月から行ってきた「経営力強化学習会」でした。補助金申請や経営の根本的改善をめざして今年の4月まで月に一度のペースで継続開催されてきたもの。「仲間と学習・交流を経たことで経営を客観的に見直し、漠然としていた経営戦略が明確になった」「みんなと勉強して心強かったし、何より楽しかった。補助金で次のステップに進めます。一緒に学んだ仲間に感謝」と好評でした。
民商では、今後も引き続き学習会を開催し、個々の会員の経営力の向上を図り、「中小業者が生き生きと活動できる」環境づくりに全力を注いでいくことにしています。