コンビニ 人手不足、24時間営業 廃棄ロス…問題解決し経営を守ろう

コンビニオーナーの経営権確立へ

全国商工新聞 第3387号2019年11月25日付

対応迫られる本部 時短「原則容認」も

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 今年2月、大阪府東大阪市のセブン-イレブンオーナー・松本実敏さんが時間短縮営業に踏み切ったことを契機に、コンビニの24時間営業が社会問題化しました。これを受け、人件費の上昇やオーナーの過重負担などをめぐって経済産業省は有識者会議「新たなコンビニのあり方検討会」を開き、実態掌握に乗り出しました。コンビニ業界は対応を迫られ、変化の動きが生まれています。

 コンビニ業界3位のファミリーマートは11月13日、フランチャイズチェーン(FC)加盟店に対し、営業時間の短縮(時短)を原則容認することを明らかにしました。2020年3月にも契約を変え、約1万6000ある加盟店のほぼ全店に営業時間の選択を委ねます。新契約では、時短営業を希望する加盟店は本部と事前に協議をした上で、加盟店側の判断で決められることになります。時短営業は2パターンを用意し、深夜休業を毎日するか、日曜日だけに限るかを選べます。休業時間は午後11時~午前7時の間で調整し、詳細は今後詰めることになります。24時間営業の店舗に支給している支援金は現在、月額10万円としている基本の金額を月額12万円にします。週1回時短営業をする店舗にも日割りで支給します。
 業界1位のセブン-イレブン・ジャパンも11月1日、全国の加盟店向けに、深夜閉店する「時短営業」のガイドラインを公開しました。それによれば、深夜閉店できるのは最長8時間。午後11時~翌朝7時までの間から、1時間単位で具体的な休業時間を決めます。ただし、深夜閉店に踏み切った場合は原則、365日連続で深夜閉店を続けなければなりません。お盆や正月といった特定の時期だけの深夜閉店は認めません。「平日は4時間休業、休日は8時間休業」といった、曜日別に休業時間を変えることも認めません。
 同社は先月10日、ロイヤルティー(経営指導料)の減額を発表。24時間営業店で月売上総利益額が550万円超の場合は、現行ルールに「月額3万5000円の減額」を追加すること、550万円以下の場合は、「月額2万円減額」を行うとしました。しかし、非24時間営業店ではこの優遇は受けられません。
 また、「深夜閉店に伴う雇用主としての責任」として、「従業員の労働条件を一方的に不利益に変更することはできません。また、深夜シフトの従業員に休業を強いた場合、事業主都合による休業に該当し、最低でも休業手当として平均賃金の60%を保証しなければなりません」(労働基準法第26条)と強調。「万が一深夜閉店を始めるという理由のみで従業員を解雇した場合、解雇は無効となる可能性が極めて高く、解雇予告手当の支払いだけでなく、あっせんや訴訟等のトラブルになるため慎重な対応が必要です」などと、オーナーに時短営業を尻込みさせるような説明が展開されています。
 コンビニ4位のミニストップも11月12日、加盟店と結ぶフランチャイズ(FC)契約を見直し、店主持ちとしてきた人件費などの店の経費について、2021年3月以降、本部も応分の負担をする方針を明らかにしています。
 現契約では、本部が店主から受け取る加盟店料は、売り上げ総利益の一定割合となっており、アルバイトの人件費や弁当の廃棄分などの負担も店主です。これを、売上総利益ではなく、経費を差し引いた営業利益を店主と分けることに改めます。負担程度は今後の検討になりますが、これは北海道を拠点に置くセイコーマートがすでに実施している方式です。
 なお、業界2位のローソンは、時短営業について「加盟店から申し出があれば対応しており、現在118店舗が実施」としています。

独禁法違反で申告 「ヘルプ不履行」など告発

ストライキも検討

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公取委申告について記者会見する松本実敏さん(左)、永尾潤さん(中央)ら

 コンビニ関連ユニオンは11月11日、東京都内で記者会見を開きました。営業強制など本部による優越的地位の乱用について、同日、公正取引委員会に補充申告を行ったことと、セブン-イレブン・ジャパンに3項目の要求を提出し、要求が受け入れられない場合、ストライキを実施する構えであることを明かしました。
 会見には、セブン-イレブン東大阪南上小阪店オーナーの松本実敏さん、セブン-イレブン前橋荻窪町店オーナーでコンビニ関連ユニオンの永尾潤副委員長ら3人が参加しました。
 コンビニ本部の独占禁止法違反を公正取引委員会に申告するのは、今回で第3次。「オーナーヘルプ制度」の不履行と24時間365日強制開店について実態を伝えたことを報告しました。
 永尾さんは「オーナーヘルプ制度は、やむを得ない事由で休日が必要となる場合に、本部従業員が一定期間、オーナー業務を代行するとされるが、2週間前に申請しなくてはならず、十分な従業員も用意されていない。制度として成り立っていない」と指摘。セブン-イレブン・ジャパンがまとめた「時短ガイドライン」について、「24時間は根本的に変わらず、世間を欺くもの」とし、松本さんは「24時間強制開店は命に関わる問題。15年間1日も休んでいない店長もいる」と実態を告発しました。
 また、「チャージの一律9%削減」「オーナーに営業時間日時の裁量権を認めること」「契約58条に定めた5年経過ごとの改定実施のために、もの言うオーナーと話し合いの機会をもつこと」の3項目を、近日中にセブン-イレブン・ジャパンに提出し、要求が受け入れられない場合、2020年元旦に100店舗目標でストライキを実施すると発表。松本さんは「これまでも本部に話し合いを求めてきたが、反応がない。働く人に優しい社会をめざして実力行使する」と力を込めました。

コンビニ関連ユニオン

コンビニエンスストア加盟店らで組織する労働組合。本部に対しオーナーが労働者類似の立場にあることから、組合として本部との交渉権を認めさせFC契約の改善を求める。

説明信用できない

セブン-イレブンオーナー・FC加盟店協会会長 庄司 正俊さん

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 セブンの新たなガイドラインには、24時間営業の短縮をやらせたくないという強い考えが透けてみえます。実際、店舗経営相談員(OFC)が個店を訪問して、いかに時短が加盟店にとって不利益になるか説明して歩いています。「6カ月の実験の結果、時短をすると約10%売り上げが下がる。人件費は多少落ちるが、売り上げも落ちる。他方、チャージは上がるし、もろもろ計算すると利益は下がる」と店ごとの計算式を示し、時短がオーナーにとって不利益だと説得しています。それだけ聞けば時短を尻込みしてしまいます。「中には利益が増えている店もありますが…」と断わるように、データが公開されているわけでないので、説明をそのまま信用するわけにはいきません。
 営業時間をオーナーが決める自由と、時短しても成り立つチャージの引き下げを求めていくことが必要だと思います。

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