全国商工新聞 第3377号2019年9月16日付
東京・池袋の「貨物車」と表示されたスペース
ホームページ上で公開された貨物専用スペース
警視庁は8月21日、貨物車両の駐車スペースの設置場所をホームページ上で公表し、東京23区内の一部のエリアで、集配中の路上駐車を解禁する方向に踏み切りました。運送関係業者からは歓迎する声とともに、「許可証の発行もしてほしい」との期待が寄せられています。
2006年の道路交通法の一部改正による「駐車違反取り締まり強化」により、厳罰主義の機械的な取り締まりが横行し、「2分間で切符を切られた」「これでは物流が窒息してしまう」との批判の声が高まりました。
全国商工団体連合会(全商連)はこれを受け、「配達中の業務車両への『許可状』の発行や、地域の実情とまちづくりの観点から、住民の意見を踏まえ柔軟な駐車可能ゾーンの設定」などの対応を求めてきました。
政府は17年8月、働き方改革の一環として、物流を妨げる駐車規制の緩和を打ち出し、警察庁は18年2月、一定の範囲で路上駐車を解禁する方向で全国の警察へ通達を出していました。
今回、警視庁が公表した駐車スペースは、23区の都市部を中心に78台分で「貨物車専用」とマーカーで書かれています。
報道によると、警察庁が集配中の業務車両の路上駐車を認めたり、禁止の対象から除外している区間は全国で575カ所に上ります。
同庁は、集配に時間がかかる中高層ビル周辺や、建物が密集する市街地などでの規制緩和を求めていますが、「駐車場がないなどの場所」での実情に合わない取り締まりはいまだに横行しています。
今回、東京での「解禁」を契機に、首都圏はじめ都市部で駐車違反取り締まりの運用改善が一層進むことが期待されます。
埼玉県川口市で運送業を営む赤城義隆さんは「10年かかって、ようやくここまで来たかと思うと感慨深い」と感想を述べ、「駐車エリアは限られているので、安心して配達できるように『許可証』の発行もしてほしい」と話しています。