全国商工新聞 第3373号2019年8月19日付
全国商工団体連合会(全商連)は7月31日、3月から全国で取り組んできたコンビニ訪問・対話の内容144通分を「中間集計」し、結果を発表しました。
24時間営業については、5.6%と半数を超える店舗が「短縮したい」と回答しています。寄せられた声には「深夜は店を閉めてもいい。客数より人件費の方が高い」「人手不足で短縮したい」など24時間営業が経営を圧迫している状況があらわになっています。また「問題ない」と回答した店舗でも「地域に合わせ選択できるように」「強制は問題」など本部に対して柔軟な対応を求めています。
この間、コンビニ各社は行動計画の中で加盟店支援を強化すると発表していますが、人手不足など不測の事態に対する「本部の支援」について、75%が「不十分」と回答。中には「母親が亡くなった日も仕事をしてから葬儀に」「派遣は手配できるが時給が高過ぎて使えない」など、実際には支援制度の使い勝手が悪く機能していない実態も明らかになっています。
「チャージ・ロイヤルティー」については87.5%の店舗が「引き下げ」を要望。「本部の利益が最優先」と、最高益を上げる本部に対する不満の声が上がっています。最低賃金の引き上げや有休取得の義務化など、人件費の高騰が続く下で、「引き下げ分を人件費に回したい」など人手不足解消のためにも、引き下げが強い要求となっています。
廃棄ロスを減らすための見切り販売については「実施している」が約3割ある中で、「実施したいができない」が17.4%あり、その理由は「手間がかかる」などシステム上の理由もありますが、「担当社員が良い顔をしない」「してもいいがするなと言われた」「本部からにらまれたら契約更新が難しい」など、公正取引委員会の勧告後も不当な「見切り販売」制限の圧力があることがうかがえます。
こうした状況下で「今困っていること」についてでは、回答を寄せてくれたほとんどの店舗が「人手不足」を挙げ、人件費、光熱費などさまざまな経費が上昇するなかで、非常に厳しい経営状況に置かれている実態がつづられています。
全商連は、こうした実態を経済産業省や公正取引委員会にも伝え、コンビニ本部に対して指導を行うよう要請し、合わせてコンビニ本部に結果と要望を伝え、オーナーの声を尊重した対応を取るよう求めることにしています。
都内のファミリーマート(記事とは関係ありません)
ファミリーマート(ファミマ)は7月26日、24時間営業に関する全国のフランチャイズチェーン(FC)加盟店へのアンケート調査で、回答した1万4572店の約半数にあたる7039店が、営業時間短縮を「検討したい」と回答したと明らかにしました。コンビニエンスストアの24時間営業が社会問題となる中、全国規模の調査で加盟店の時短希望が明らかになり、改めて本部は対応が迫られることになります。
アンケートは6月7~21日、直営を除く全1万4848店を対象に行い、回答率は98.1%。時短営業を「検討したい」と回答した理由は「深夜帯の客数が少なく、収支改善可能」(3350店)、「人手不足のため」(3268店)が上位に。一方、時短営業を「検討しない」と答えたのは7106店で、「既に時短営業」は427店(2.9%)という結果が示されました。
沢田貴司社長はこの日、東京都内で記者団の取材に「正直、高い数字だ。時短への関心の高さを真摯に受け止めて、加盟店としっかりコミュニケーションを取りたい」と述べ、営業時間の短縮を慎重に検討する考えを表明しています。
民商・全商連が実施しているアンケートでも「田舎だから深夜の時間帯はほとんど人がきません。納品等の問題もありますが、開けている意味があるのか?と疑問に思います。人手不足のため週3回は一人で夜回しています。トイレにも行けず休憩もできません」「夜12時~朝5時はほとんど来店がない為、週末以外は私(オーナー)1人で店を回している。」など、過半数が時短営業の希望が表明されています。
しかし、「契約上24時間営業をやめると本部へのチャージが増えるので、そこは厳しい所です」(セブン)との回答にもみられるように、チャージが上がることへの懸念から、ためらいも見られます。
ファミマは、6月から全国24店舗で実施中の時短実験の中間結果も公表。店舗によって売り上げや利益の変化にばらつきがあり、「一律の傾向は見られなかった」と主張。同社は10月に実験店舗を最大700店に拡大し、12月以降に方向性を示すとしています。
FC加盟店が、ペナルティーを課されることなく自店の実態を踏まえ、自らの経営判断で営業時間を選択できるよう道を開くことこそが求められます。