全国商工新聞 第3370号2019年7月22日付
ウーバーイーツの配達員(記事とは関係ありません)
東京・新宿民主商工会(民商)の会員で「Uber Eats」(ウーバーイーツ)配達員として働いているYさんが6月初旬深夜、配達中にひき逃げ事故に遭いました。
後方から走ってきた車両が自転車で配達中のYさんを跳ね飛ばし、前を走るタクシーにも追突しながら逃走。現在も犯人は見つかっていません。
Yさんは、前の仕事がうまくいかなくなり、経験がなくても、すぐに始められるということから、ウーバーの配達を始めました。
「年齢を考えると選択肢は他になかった」と振り返ります。
事故当時、労災未加入だったため治療費も休業補償も受けられません。犯人が見つかっていないため、治療費等の賠償請求もできません。
所属する落合第1支部の5月30日の会合で「労災加入は急務だね。ドライバー労災を立ち上げよう」と話し合っていた矢先の事故だけに、悔やまれます。
ウーバーによると、配達員が事故を起こした場合、相手のけがなどに対して補償する保険には加入しているものの、配達員は雇用契約を結んでいない「個人事業主」に当たるため、配達員の被害を補償する仕組みはなく、「交通ルールとマナーを守って、安全に配達しましょう」と呼び掛けるだけです。
配達員には個人で保険に加入するよう勧めているということですが、実際にどのくらいの人が、保険や労災に加入しているか掌握していません。
Yさんは、骨折が完治しておらず、嘔吐、めまいなどの後遺症もあるため、これまでのように仕事をこなすことができずにいます。
新宿民商では、ウーバーに上場企業として社会的責任を果たし、事故補償を行うよう求めるとともに、今後配達業務を行うフリーランスが加入できる一人親方労災組合を設立し、労災加入を呼び掛けていこうと準備を進めています。
スマホで注文した食事を配達してくれるサービスです。
マクドナルドをはじめ、多くのファストフードや飲食店が、ウーバーに出店しています。現在、東京・横浜・川崎・埼玉・大阪・京都・神戸で展開しています。
日本でも以前から利用されている「出前館」や「マックデリバリー」などと同様のサービスですが、「二つの特徴」があります。
第一は、1品からでも注文できる(最低注文金額の設定がない)、第二は、配達パートナーが宅配することです。
ウーバーは、誰もが「Uber Eatsの配達パートナー」になり、お金を稼ぐことができると宣伝し、パートナーを増やしています。配達員の報酬は完全な歩合給で、配達ごとの距離等を基準に報酬が決められています。
しかし、個々の配達員は個人事業主として扱われるため、労災などの適用がなく、労働者としての保護・権利保障がないことが問題になっています。