全国商工新聞 第3358号2019年4月22日付
コンビニエンスストアの24時間営業の是非をめぐって、経済学の立場から、以下私見を述べさせていただきたい。
第一に、コンビニエンスストアは生活インフラ(公共財)との声を聞くが、そうしたインフラを民間の自助努力のみに委ねることはできない。官民連携が必要であるが、コンビニに対して公的な支援があるとは思えず、結局そのツケを店主が払わされているのが実態である。利益率が1.5%から2%程度の経営がほとんどであり、突発的なことが起これば、この利益は一気に消える。そんな経営に対し、生活インフラの役割を期待するのは難しい。
第二に、24時間営業に対し、近年、明確な雇用市場のミスマッチが存在することに対し、「すでに交わされた契約」を前提に、店主の責任にするのは無理がある。
雇用市場のひっ迫については激変するマクロ経済の環境の変化が関係しており、専門家ですら予測するのは難しい。残業時間を減らす方向で動いている現行の労働政策にも逆行するであろう。
今後は、店主との十分な話し合いの中で一部の店舗は24時間営業から離脱することも検討に入れるべきである。逆にそうした柔軟な対応が地域からの信頼を得ることにもつながり、持続可能な経営につながってゆくであろう。店主も地域の生活者だからである。