全国商工新聞 第3355号2019年4月1日付
全商連が発表した「24時間営業などコンビニが直面する課題と私たちの考え」(以下、「見解」)に、期待と歓迎の声が広がっています。
日本共産党参議院議員 辰巳 孝太郎さん
大阪のコンビニ店主が契約違反と分かっていながら「契約よりも命が大事」と時短営業に踏み切りました。世耕弘成経済産業大臣も今の状態では「持続不可能」と答弁しましたが、社会インフラであるコンビニがオーナーの犠牲の上に成り立っているのは問題です。
昨年私は、大阪にある4000すべてのコンビニにアンケート調査を行いました。オーナーの声は「20年で1日しか休みがない」「親が死んでも休めない」「お正月や災害時には休ませてほしい」など、凄惨なものでした。
全商連の「見解」は時宜にかなったものです。とりわけ人件費の高騰の結果、オーナーが長時間労働を強いられている実態を考えれば、チャージの引き下げは最も効果的なオーナー支援です。
元請けと下請けの関係なら下請法が適用され、下請けは保護の対象となります。また労働者であれば労働法に守られます。しかしコンビニフランチャイズでは巨大な本部と一個人が結ぶ契約は「対等」とされ、結果、小規模事業者として守られません。他国では近隣出店を制限したり契約更新拒絶の規制を法的に行っています。「見解」にあるように日本でもフランチャイズ(FC)法の制定が必要です。
全国FC加盟店協会副会長 河合 章さん
全商連の「見解」は素晴らしい。全く同意です。2009年に見切り販売制限についての排除措置命令が出たままで、その後の調査は行われていません。通常は追跡調査を実施して効果を検証すると、公正取引委員会は主張しています。
4月からの有給休暇義務化の問題は、今のコンビニには死活問題です。当初のコンビニのビジネスモデルは、大半は学生アルバイトの人たちで運営して成り立つもので、社会保険や労働保険の負担はないことが前提でした。
昨今、日本人の学生は集まらず、都市部では外国人留学生の応募はあるものの、地方では皆無でフリーターや主婦の方々に頼らざるを得ない状況です。
これだけ社会インフラとして確立している状況下で、ブラックバイトは避けねばなりません。そのために一定の利益を上げねばなりませんが、本部は自社の利益向上のみを追求し、ドミナント出店戦略(特定の地域に集中して出店させる戦略)を取り、加盟店の利益を奪っています。
資本主義の下でも、人権や人命を侵す経営は許されるものではありません。FC規制法で正すしかありません。本部と加盟店が話し合えるテーブルを早急につくるべきです。
弁護士 中野 和子さん
加盟者は契約で24時間年中無休営業を強制されていますが、これを実行するためには、加盟者および履行補助者(配偶者、子、父母、兄弟姉妹)に長時間労働を強いるビジネスモデルとなっています。契約書にはこのような記載がなく、事前に説明もされません。
事業者間契約であっても、本部には加盟者の契約履行に際しての安全配慮義務があるというべきですし、命の危険を伴う行為を強制すること、病気で倒れそうなのに24時間営業を強制することは権利の乱用といえます。
小規模事業者の生計のための事業が、利潤を求める大企業の横暴によって生死を賭けたものとなっている現状では、「見解」のとおり、FC規制法が早急に必要です。
今後も24時間年中無休営業を求めるのであれば、ロイヤルティーを現状から少なくとも5%減らすなど、それに見合った経済合理性のある利益分配の条項が契約には必要です。
また、「見解」でも指摘されていますが、見切り処分を本部が推奨すれば、加盟者の利益は増え、高い賃金で深夜勤務労働者を募集することも可能となります。本部はすぐに見切り処分を推奨すると宣言すべきです。