全国商工新聞 第3389号2019年12月9日付
小規模業者の実情を訴える全商連の浅井憲久常任理事(右から2人目)。同席した日本共産党の畑野君枝衆院議員(その左)
全国商工団体連合会(全商連)は11月25日、食品表示法に基づく栄養成分表示の義務化について、小規模事業者の実態に寄り添った対応を実行するよう、消費者庁に要請しました。日本共産党の畑野君枝衆院議員も同席しました。
要望は「栄養成分表示義務者から『販売者』を除くこと」「小規模な食品製造・加工業者に対する栄養成分表示の免除規定を周知徹底すること」など5項目。
全商連の浅井憲久常任理事は「地域の食品衛生指導員をしているが、この法律について知ったのは8月。小規模業者に対する免除規定が周知されておらず、廃業を決めた業者もいる」と実態を告発。また、成分表示義務者に「販売者」が入っていることについて、「『販売者』は製造のレシピを知りようもないし、責任も持てない。免除になっている小規模製造業者も、販売業者から『表示がないから取引しない』と言われれば、表示をせざるを得ない」と矛盾を指摘し、「消費税増税に加え、専用のラベル印刷機や検査代など小規模事業者は負担に耐えられない」と訴えました。
庁側は「表示は消費者にとって重要で、小規模業者の免除規定はあくまでも例外。取引のことは民間同士の問題」などと回答。全商連は「表示を免除されている小規模な食品製造・加工業者に小売業者側が表示を強要すれば、優越的地位の乱用になるのではないか。免除規定がきちんと機能するよう公正取引委員会など他の省庁とも連携して周知徹底を」とあらためて要請しました。
庁側は、「委託販売など商品の所有権が移転しないまま販売する場合、小規模な製造・加工業者は栄養成分の表示をしなくてよい」と説明。「罰則規定はあるが、表示免除の事業者が表示しないことで罰則を適用することはない」と回答しました。