全国商工新聞 第3361号2019年5月20日付
運動方針を確認した原告団
公正な判決を求める署名に取り組むことなどを確認した生業訴訟の原告団総会
国と東京電力を相手に慰謝料と原状回復を求め裁判をたたかっている「生業を返せ、地域を返せ!」福島原発訴訟(生業訴訟、中島孝団長)の原告団は4月27日、福島県二本松市内で第5回総会を開催しました。約130人が参加し、公正判決を求める署名に取り組むことをはじめ、原発ゼロをめざし全国の原発事故被害者と力を合わせていくことなどを確認しました。
総会では、訴訟を起こして(2013年3月11日)以来、五十数人の原告が亡くなったことが報告され、哀悼の意を表して全員で黙とう。開会あいさつした中島団長は、事故によって先祖から引き継いだ農地、生業、そして将来が奪われたにもかかわらず、原発再稼働が進められていることを「許していいのか」と怒りを込めて告発。この総会を「第二のフクシマをつくらないための総会にしたい」と呼び掛けました。
弁護団共同代表の菊池紘弁護士は、控訴審が年内に結審し、来春にも判決を迎えるとした上で、「控訴審で被害の賠償実現、原状回復、その先にある原発ゼロの道を切り開こう」と訴えました。
生業弁護団の鈴木雅貴弁護士は、国、東電の責任を認めさせた一審判決の意義や、仙台控訴審の課題について言及。さらに一審判決が出された10の集団訴訟判決の分析結果では、国を被告とした八つの裁判中、六つの裁判で国の責任を認め、すべての裁判で中間指針を上回る判決が出されていると紹介。また、裁判外手続き(ADR)では、東電が集団ADRの和解案を拒否し、行き詰まりを見せていると指摘した上で、「集団訴訟を突破口に、ADRへの申し立て住民を含む多くの被害住民の救済を切り開こう」と、呼び掛けました。
今後の運動方針として(1)公正判決を求める署名運動に取り組む(2)諸団体、個人、自治体、議員との協働の強化(3)支部活動を活性化し、地域に根を張る取り組みの強化(4)事務局体制の強化(5)会場の意見を受け、中間指針を見直す意見書を自治体で採択する-ことに取り組むことを全体の拍手で確認しました。
総会は「『こころの風景』をズタズタに汚してしまった国と東電を決して許さない決意を新たに固めました…自らの過ちを認め、甚大な被害に対する十分な償いをさせるまで、そして『原発ゼロ』の完全な勝利まで、福島県内及び全国でたたかうすべての原発事故被害者と力を合わせてたたかうことを宣言します」とのアピ-ルを採択しました。
総会には日本共産党の岩渕友参院議員、国民民主党の増子輝彦参院議員(秘書)らが来賓として出席、あいさつしました。