全国商工新聞 第3325号8月27日付
東電は「最後の一人まで賠償貫徹(東電三つの誓い)」を表明しながら、「相当因果関係」の立証を強引に求めてくるなど、賠償打ち切りの姿勢を強めています。
要請の中で、2015年以降の将来にわたる損害について、減収率100%の年間逸失利益の2倍を一括払いしている件で、1万5800件の申請に対し、1万4600件の賠償がされたと回答(6月現在)。また、特段の事情で損害の継続を余儀なくされ、一括払いの賠償額を超過した場合の「超過賠償」については、700件の申請で1件のみとしました。
参加者は「被害が続く限り賠償すると言うが、明らかに打ち切りを始めている」と抗議。一括の支払いで賠償を終了させないことを求めました。
「米やリンゴを作っている農家は賠償されているのに、それを原料に酢を醸造している業者がなぜ賠償されないのか」と訴えたのは、須賀川市のOさん。一時期は他県から材料を仕入れていましたが、現在は100%県内産です。東電は、ラベルに福島県産と表示していなかったことを理由に、将来分の賠償を拒否。Oさんは、製造元を見れば生産者の所在地が明記されており、売り上げ減と事故との因果関係は明らかだとし、「50年かけて育てた信用と誇りを台無しにされた」と怒りをぶつけました。東電は後日確認して連絡すると約束しました。
「約束が違う」と語気を強めるのは郡山市でカフェレストランなどを経営していた企業で賠償請求を担当してきたTさん。1年前の交渉で、東電は「後日、詳細に話を聞く」と約束していたにもかかわらず、突然弁護士に問題を委任し、丸1年間放置されました。「その約束を信じて裁判も取り下げたのにだまされた」と怒りで声を震わせ、東電の対応に問題がないのか、経産省に調査することを求めました。
県連会長は「(中小業者の)生死に関わる問題。東電は真摯に対応を」と訴えました。日本共産党の岩渕友参議院議員が同席しました。