6月からHACCP本格運用 全食品事業者が対象に【ポイント解説】|全国商工新聞

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 食品衛生法の改正に基づき、2020年6月1日から「HACCP(ハサップ)に沿った衛生管理」が制度化されました。事業者の準備期間として1年間の経過措置が設けられましたが、この経過措置が終了し、6月1日から本格的に適用されます。原則、全ての食品等事業者(食品の製造・加工、調理、販売等)に「HACCPに沿った衛生管理」が求められ、これに対応できるよう準備を進めることが必要です。そのポイントを解説します。

Q1 「HACCPに沿った衛生管理」とは?

 全ての食品等事業者が、①「一般的な衛生管理」および「HACCPに沿った衛生管理」に関する基準に基づき計画を作成し、従業員に周知徹底を図る②必要に応じて、清掃・洗浄・消毒や食品の取り扱い等について、具体的な方法を定めた手順書を作成する③その衛生管理の実施状況を記録し、保存する④衛生管理計画および手順書の効果を定期的に検証し、必要に応じ見直す―ことになります。
 「HACCPに沿った衛生管理」に関する基準は、各業界団体が作成しています。
 製造・加工では78業種、調理・販売・保管では22業種で手引書が作成されており、厚労省ホームページで公表されています。小規模な営業者等(従事者が50人未満の事業場)は、その手引書で対応できます。
 従って、その手引書に準拠した「計画作成」→「実施」→「記録」→「保存」が日常的に必要になります。手引書で推奨される期間(約1年程度)保存しておくことが必要です。

Q2 これまでとは何が変わるのか?

 「HACCPに沿った衛生管理」の制度化は、衛生管理の手法・ソフトに関するものです。事業者に新たな施設の設置や設備の変更を求めるものではありません。
 衛生管理の実施状況については、これまでと同様、営業許可の更新時や保健所による定期的な立ち入り時に検査が行われ、食品衛生監視員が適正に実施されているかどうか確認します。
 違いは、これまでの「一般的な衛生管理」だけではなく「HACCPに沿った衛生管理」についても確認が行われることです。HACCPに沿った「計画作成」→「実施」→「記録」→「保存」が適正に行われているかどうかが点検されます。
 新しい制度ですので、当面の間は、導入の支援・助言が中心になります。

Q3 導入していないと罰則があるの?

“HACCPに基づく適正な衛生管理”を行っていることをアピールできれば、信用を高めることにもなります(写真は記事とは関係ありません)

 罰則の適用についても、変更はありません。
 通常、衛生管理の実施状況に不備がある場合は、まずは口頭や書面で改善するよう指導が行われます。繰り返し改善指導が行われても、改善が図られない場合は、営業の禁止・停止等の行政処分が下される場合もあります。行政処分に従わず営業したときは、懲役または罰金に処される可能性があります。
 HACCPの導入を機に、食品関連事業者としては“HACCPに基づく適正な衛生管理”を行っている事業者であることをアピールできれば、信用を高めることにもなります。

「HACCPに沿った衛生管理」が求められる食品等事業者

 食品衛生法の改正に伴い、営業許可業種の見直しも行われており、「食品衛生法要許可業種」「要届出業種」「届出が不要な業種」の三つに変更されています(4月12日号2面で既報)。「HACCPに沿った衛生管理」は、前2者は実施しなければなりませんが、「届出が不要な業種」は免除されています。

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