コロナ禍の影響で、国民健康保険(国保)料・税の納付が困難な場合に活用できる特例減免制度が4月以降も延長されます。対象となるのは、4月1日から2022年3月31日までに納期限がある、21年度分の国保料・税。昨年度と違って、国が減免分全額の財政支援を行わないため、自治体への働き掛けが重要になっています。
「財政難」言われても 自治体に実施働き掛けを
減免対象となる世帯は、新型コロナウイルス感染症で主たる生計維持者が死亡または重篤な傷病を負った▽新型コロナウイルス感染症の影響で主な生計維持者の事業収入、不動産収入、山林収入また給与収入の減少が見込まれ、①事業収入が30%以上減少②合計所得金額1千万円以下③所得以外の前年所得合計額が400万円以下―の要件に全て該当する世帯。減免額の割合は、表の通りです。
事業収入の30%以上減少は「見込み額」で構いません。結果的に、収入が30%以上減少しなくても、後になって減免が取り消されることはありません。30%以上減少の見込み額は、合理性が担保されれば、直近1カ月分でも判断できるとされています。また、収入減少の確認は、確定申告書だけでなく、帳簿や給与明細書などでも判断できます。
厚生労働省は3月12日、都道府県宛てに事務連絡を発出し、21年度分の国保料・税の減免を行った場合、その費用を特別調整交付(補助)金の財政支援の対象にすることを明記しました。
国からの財政支援は、①保険料・税減免総額が市町村調整対象需要額の3%以上は減免総額の80%②同1.5%以上3%未満は減免総額の40%③同1.5%未満は減免総額の20%―です。
特例減免制度は、市町村の条例や規約に基づいて行われもので、対応する条例や規約がない場合は、条例や規約の整備が必要です。
20年度は、国保料・税の特例減免を行った場合、その費用を国が全額負担しましたが、今年度は減免総額の20~80%の財政支援のため、市町村によっては、財政難を理由に減免制度を実施しないことも予想されます。自治体に働き掛け、減免制度の実施を求めることが必要です。
市町村調整対象需要額
医療給付費等の見込み額から公費(定率国庫負担、都道府県繰り入れ金など)や、前期高齢者交付金の収入見込み額を除いたもの。