「市内の飲食店や宿泊施設を安心して利用してほしい」―。島根県江津市は10月から、飲食店・宿泊施設を対象に、新型コロナウイルス感染対策の基本を学び、具体的な対策への助言を行う「専門家派遣事業」を行っています。江津民主商工会(民商)や市内商工団体の要望が実ったもの。民商では制度を知らせ、活用を呼び掛けています。
同事業は、国の業種別「感染対策ガイドライン」に沿ったもの。食品衛生の専門家が助言を行い、感染症対策を継続して行う店を、「江津市感染症対策取組店(仮)」として認定し、商工会議所サイトにも掲載します。
11月の5日と9日には、民商会員のスナックを専門家が訪問しました。民商役員、商工会議所や市職員も参加し、チェック項目(上の図)を確認しました。
アドバイザーは「お客さんがコロナに感染しているかを見極めることは難しい。だからこそ、事業者が感染しない対策をしっかりして、自分の身を守ってほしい」と強調。スナックのママは「カラオケマイクなど、共有する物などは、お客さんの目の触れない所で消毒をしたり、マイクカバーを取り替えたり、気分を害さないように気を遣いながら対策している」「常連客ではない方には、念のため、どこから来たか聞くようにしている」などに注意していることを話しました。
また、石見観光振興協議会作製の「コロナに打ち克つ5箇条」ポスターなども配布。日々の記録が残せるよう、健康チェック記録用紙も配りました。
対象の6割が実施
同派遣事業は、10~11月に、市内の飲食店(約100)と宿泊業(約20)のうち、6割に上る72件で実施されました。
民商では、コロナ禍以降、会員・業者の悲痛な声と実態を集約し、要望書を3回提出。役員中心に市長交渉を重ねてきました。また、創設された「江津市持続化応援金」(20万円。売上20~50%減が対象)では、民商も申請・相談窓口の委任団体の指定を受け、市内1400業者のうち、510業者が活用しました。
井上義信会長は「民商会員が正確な対応ができることを願い、行政と連絡を密にして、今回の施策も実現できた」と話します。今後も、業者の困り事を行政に投げ掛け、切実な要求実現に力を合わせようと話し合っています。