自衛隊「統合作戦司令部」発足 米軍指揮下で敵基地攻撃の危険|全国商工新聞

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 陸海空3自衛隊の実働部隊を平時から有事まで一元的に指揮する「統合作戦司令部」が3月24日、東京・陸上自衛隊市ケ谷駐屯地に240人規模で発足しました。2022年12月の安保3文書に明記され、アジアから西太平洋に至る広範な領域で日米の軍事一体化を加速することが狙いです。戦前の日本軍の「大本営」が、米軍従属下で再生されたとも言うべき危険な動きです。
 初代司令官には、自衛隊の最高指揮官である統合幕僚長を支えた、元統合幕僚副長の南雲憲一郎空将が就任。会見で「新しい指揮統制関係の上で、日米間でしっかり連携できる体制を構築、強化したい」と述べ、統合司令部が米軍と自衛隊の連携強化の一環であることを明言しました。ヘグセス米国防長官も「日本は、われわれが西太平洋で直面する可能性がある、いかなる緊急事態でも最前線に立つことになるだろう」と述べました。
 統合司令部は、米中の台湾有事などの際に、陸海空はおろか宇宙やサイバーまでも米軍と一体で、敵基地攻撃を運用することが「最大の仕事になる」と指摘されます。南雲氏は、長射程ミサイルなど「スタンド・オフ防衛能力」やF35Bステルス戦闘機、事実上の空母化を進める「いずも」型護衛艦の運用体制を「早期に確立する」と述べ、その指摘を裏付けました。
 中谷元・防衛相は「自衛隊、米軍はそれぞれ独立した指揮系統に従って行動している」と繰り返します。しかし、情報・装備で圧倒的に優位な米軍と自衛隊が対等な関係に立つとは到底、想定できません。コルビー米国防次官候補は、単一の司令官の下で運用する米韓同盟のような「モデルに向かう必要がある」と述べており、歴代政権も憲法9条の下では違憲と否定してきた、自衛隊が米軍の指揮下に入ることが懸念されます。
 国会では3月31日、25年度予算と税制改正関連法が成立しました。中小企業対策費や社会保障関係費、文教・科学振興費などは物価上昇を下回る実質マイナスの一方、軍事費は前年度比9.4%増の8.7兆円と突出させる、戦時下のような予算です。大軍拡・大増税反対の世論を広げ、夏の参院選で自民党政治を終わらせる審判を下しましょう。

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