確定申告のワンポイントアドバイス⑫「申告書を提出した後の対応」|全国商工新聞

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 確定申告書を提出すると「そのうち税務調査が行われるのではないか…」と心配している方もいるのではないでしょうか。
 税務調査や行政指導がすぐに行われるのは、扶養控除の金額記載を誤ったなど、外観でミスが明らかな場合が多いです。事業所得や不動産所得の調査は3年分をまとめて行われます。
 納税者への実地の税務調査件数はコロナ禍明けから増加傾向にあります。調査官も2人体制で、新人教育を兼ねて行う調査が多く見受けられます。実地現場での調査手法は、それほど変化がないように見受けられます。
 税務署から「実地の調査」を行いたいとの連絡があった場合には、全国商工団体連合会の「自主計算パンフレット」に掲載されている「税務調査についての10の心得」などを脇に置き、落ち着いて対応しましょう。
 税務署員の中には法律に、のっとらない手続きをしたり、税理士によっては、税務署員に義務付けられた「事前通知の11項目」の確認を納税者にさせないなど、納税者の権利を形骸化させる行為が散見されています。税務調査は納税者の協力なくして行うことはできませんし、税理士は、あくまでも納税者の代理人です。気が重くなるかもしれませんが、納税者が税務調査においても主役ですので、皆さんのペースで対応しましょう。
 なお、ご家族に高齢者の方や基礎疾患のある方がいる場合などには、税務調査を延期あるいは中止することもできます。これは、国税通則法が定めている「必要があるとき」にしか税務調査をすることができず、「納税者の協力のもと」で税務調査を行うことが、法律の要求だからです。国税庁の基本方針である「税務運営方針」も、これに従っています。不安であれば、最寄りの民主商工会(民商)などに相談して、力を合わせて対応してください。
 税務調査の経過において、税務署も、税理士も納税者に十分な説明をせずに、修正申告を強要あるいは勧奨するケースが目立ってきています。また、法定外書類である質問応答記録書(自白調書)を強引に作成させる税務調査官も少なくありません。
 確定申告は、日本国憲法第13条が保障する自己決定権を税法面から具現化したものです。確定申告書に難癖をつける場合の立証責任は税務署側にあります。「この経費は認められません」という権限は税務署側にはなく、認めないのであれば十分な証拠を示して、更正決定処分を行うしかありません。
 所得税の修正申告をすると、住民税・事業税・国民健康保険料・税などにも追徴税額等が生じることにもなります。税務調査時に修正申告の勧奨があった際には、その内容に十分納得できる場合にのみ応じることにしてください。


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