1月24日、通常国会の施政方針演説で石破茂首相は、「楽しい日本」をめざすと述べました。「全ての人が安心と安全を感じ」「『今日より明日がよくなる』と実感できる」「活力ある国家」にするというのです。しかし、自公与党は、高額療養費制度を8月から段階的に改悪し、国民負担の引き上げを狙っています。社会保険料負担の抑制と称して国の財政責任を後退させようとする石破首相の演説に「楽しい日本」を想像することはできません。
がんや医療費助成の対象になっていない難病など高額な治療代を必要とする重傷病を負うリスクは誰もが負っています。がんにかかる割合は今や国民の2人に1人です。そうした治療を受けるときの命綱となっているのが高額療養費制度です。「医療費の家計負担が重くならないよう、医療機関や薬局の窓口で支払う医療費が1か月(歴月:1日から末日まで)で上限額を超えた場合、その超えた額を支給する」(厚生労働省ホームページ)という憲法25条(生存権)に基づく社会保障制度です。
この改悪案について、日本共産党の倉林明子参院・厚生労働委員は「住民税非課税世帯を含む全所得階層で負担増になる」と明らかにし、「例えば年収370万~770万円の高額療養費の上限は現在8万1千円程度ですが、3年後には毎月8100円~5万8500円程度の負担増になる」と指摘しています。
政府は、社会保険料の負担抑制のためといいますが、全国保険医団体連合会の試算によると、制度改悪による国民の負担軽減は月額46円~208円程度です。高値が続くキャベツ一つも買えません。
石破首相の演説を聞いて喜んでいるのは、企業の社会保険料負担を減らすために自民党に献金し、パーティー券を買って政治をゆがめる財界・大企業と、自衛隊に巨額の兵器を売り込むために国民向け予算の削減を強いるアメリカです。
国民を苦しめながら「楽しい日本」をつくることなどできません。患者に負担を押し付けるのではなく、医療費への国の負担率こそ引き上げるべきです。高額療養費制度の改悪を阻止するためにも、夏の参院選で自民党政治を終わらせる世論と運動を今から広げましょう。