大阪・泉佐野民主商工会(民商)のKさん=建設=は、入院したことで未申告になってしまった消費税の納期限延長申請を拒み続けた泉佐野税務署の姿勢を昨年末に覆させ、申請を受理させました。その背景には、民商の仲間の声に励まされ、決して諦めなかった木岡さんと、国税庁に直接交渉した民商のたたかいがありました。
大阪・泉佐野民商 Kさん
「税務署から通知来たで~!」―。喜びの声を民商事務所に連絡してきたKさん。昨年6月から申請していた「災害による申告・納期限延長申請」が12月25日に受理され、請求されていた不納付加算金3万6千円が無効になりました。
昨年の3月下旬以降、2カ月半入院したKさんは、消費税が未申告だったため、退院後の6月に、「申告等する者の重傷病」が理由になる「災害による申告、納付等の期限延長申請書」を泉佐野税務署に提出。しかし、税務署から「不受理になるので、申請を取り下げてください」と電話があり、名前など以外の必要事項が書き込まれた「取り下げ願い」が郵送されてきました。不受理の理由が分からないので対応せずにいると、今度は「取り下げ願い催促文書」が送り付けられました。
Kさんは7月8日、民商と連名で税務署に請願書を提出。「取り下げ願い提出の強要をやめよ」「申請を審査せよ」に加えて、2カ月半の入院が重傷病に当たらないというのなら「重傷病の定義を明らかにせよ」と求めました。
税務署は「審査をしても不許可になるから、取り下げ書を送った」「重傷病の定義は国税庁に無いので、示すべきものが無い」「申請を認められないと判断した理由は個別案件のため、本人以外には答えられない」と強弁。後日、詳細な理由として、Kさん夫妻に「税理士を使えば、期限内に申告できたから」と言ってきました。
3度にわたる「取り下げ願い」の督促と、複数回に及ぶ税務署対応に疲れた木岡さん夫妻は、一度は心が折れ、取り下げ願いに応じました。
しかし、熊取支部の役員会で「確かに、しんどいのは分かる」「このままで終わったら、あかん」などと励まされ、全国中小業者団体連絡会(全中連)の10・1国会行動の国税庁要請で請願書を提出することに。民商ニュースでその件を知った他の会員から「延納申請した会員さん、どうなったん?」「しんどい思いしているの分かる。でも、頑張ってほしい」と心配や励ましの声が広がりました。
10月1日の国税庁要請には、体調の悪いKさんに代わり、千住信子事務局長が参加。各地の参加者からも励まされ、要請に臨みました。国税庁に対し、これまでの経緯を説明し「災害による申請」の対象となる「重傷病の定義」をただし、Kさんの申請を受理するよう強く求めました。
庁側は、「重傷病の定義」をその場で答えられず、後日、「明文上の定義はない。個々の事情で判断する」と回答。ずさんな回答に対し、全国商工団体連合会や日本共産党議員団も抗議し、「重傷病とは『犯罪被害者等給付金の支給等による犯罪被害者等の支援に関する法律』など他の法律でも、『療養が1カ月以上の場合』を指しており、判断できる」と迫りました。
その後、12月25日付で申告と納期限の延長の決定通知がKさんに届きました。Kさんは「長いたたかいで疲弊したが、諦めずに声を上げて良かった」と話しています。