税務行政のデジタル化を口実に、来年1月から確定申告書控えへの収受日付印の押印を廃止する方針の国税庁に対し、全国商工団体連合会(全商連)は11月27日、押印を継続するよう国会内で要請しました。17県の民主商工会(民商)の役員や会員ら45人が参加し、全商連の岩瀬晃司副会長が署名3518人分を手渡しました。
要請では①収受日付印の押印継続②確定申告書および納付書を納税者に届ける③3・13重税反対全国統一行動や集団申告を納税者の要望に沿って受け入れるよう徹底―を求めました。
庁側は、収受日付印の押印は「来年1月から行わないことを予定している」との回答に固執。「中小業者が金融機関から融資を受ける際、与信などで不利益を受けるのではないか」との指摘には「あくまでも金融機関側が判断するもので、われわれは回答できない」と責任を回避しました。
参加者は「金融機関と懇談したが、収受日付印の押印廃止を知らなかった。強行すると、重大な混乱を招く」(広島)、「行政の窓口にも押印廃止は徹底されていない。これまで通りの行政手続きができなくなる」(京都)と懸念を表明。「申告したのに、税務署の手続き不備で受理されていない場合、申告が無かったことにされる。重大な権利侵害だ」(鳥取)、「電子申告した納税者には証拠が付され、紙の納税者には証拠が付されないのは不平等」(兵庫)、「この間、税務署が申告書を紛失する事態が頻発している。控えへの押印が廃止されれば、納税者が提出したことを証明する手段が無くなる」(大阪)と押印継続を口々に訴えました。それでも押印廃止を譲らない庁側に「誰も納得していない」と怒りをあらわにしました。
確定申告書や納付書の送付について、庁側は「希望する者には送付する」と述べる一方、「数には限りがあり、その範囲内で」と回答。参加者から「『売り切れました』では困る。納税者の権利に関わる話だ」と怒りの声が上がりました。民商が用紙をまとめて請求した場合の対応について、庁側は「対応する」と明言しました。
その後、参加者はグループに分かれて、衆参の財金委員らの議員要請へ。「ガソリン税凍結、消費税減税、インボイス廃止」署名を受け取った田中健衆院議員(国民)の政策秘書は「ガソリン税凍結は、うちの主張だ。インボイス制度も”消費税を5%に下げて廃止を”と言っているのでよろしくお願いします」と参加者を激励しました。
全商連は同日、各民商から寄せられた「収受日付印の押なつに関する請願署名」1万4331人分と「ガソリン税凍結、消費税減税、インボイス制度廃止を求める請願署名」2万2411人分を国会へ提出しました。