国連女性差別撤廃委員会(CEDAW)は10月29日、日本における女性差別撤廃条約の履行状況について日本政府に評価と勧告を行う総括所見を発表しました。日本政府から報告を受け、8年ぶりに審議を行った結果です。総括所見は、選択的夫婦別姓に関する4回目の勧告で「これまでの勧告に何らの措置もとられていない」と指摘したのをはじめ、広範な課題で日本の是正措置の遅れを厳しく批判しました。
2016年の勧告で解決を求めた「所得税法の見直し」は、今回さらに踏み込みました。「女性の経済的自立を促進するため、所得税法第56条を改正し、家族企業における女性の労働を認めること」と勧告しています。
全商連婦人部協議会はこの間、日本婦人団体連合会に結集して56条廃止や選択的夫婦別姓実現、選択議定書批准、日本軍「慰安婦」問題解決の「ジェンダー4署名」を広げてきました。
総括所見は、4署名の要求を全て反映しました。CEDAWへの、差別や権利侵害の通報を保障する選択議定書は、批准に「時間がかかり過ぎる」とし、慰安婦問題では「被害者の立場での賠償」を強調しました。中絶への配偶者同意の撤廃や女性が自ら選べる避妊手段の拡大などの他、今回初めて沖縄の米軍による性暴力の問題を取り上げ、加害者処罰と被害者保護、支援体制充実などを勧告しました。女性差別を専門的に扱う省庁がないことや、男女の賃金格差が依然大きく、女性の低賃金労働の割合が高いことを指摘。傷病手当、出産手当にも言及し「基本的サービスを十分に利用できるようにする」と求めました。
これらの評価や勧告は、差別に苦しむ女性たちの声を集め、NGOレポートやロビー活動などでCEDAWに届けて得られました。この貴重な成果を生かす運動が求められます。
女性差別撤廃条約は「あらゆる分野」における男女平等の達成に必要な措置を締約国に求めています。日本政府が条約を批准して40年近くたつにもかかわらず、条約の内容が多くの女性に知らされず、適用が限られる状況にも強い懸念を示しました。総括所見を学び、ジェンダー平等社会を実現させる取り組みを強めましょう。