脳梗塞で退院直後の納税者への税務調査が中止に 国税局、税務署への請願実る 宮城・気仙沼本吉民商会員 民商の仲間に感謝|全国商工新聞

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 「仙台国税局や気仙沼税務署への請願が実り、脳梗塞で緊急入院し、退院直後から、しつこく調査の予定を決めようとする人権無視の税務調査を中止させた」―。宮城・気仙沼本吉民主商工会(民商)の杉山弘さん(仮名)=製造=と妻・康子さん(仮名)は10月9日、気仙沼税務署による税務調査の中止を求める請願書を提出し、調査の取り下げを勝ち取りました。杉山さん夫妻は「これで、ひと安心できる」と、民商の仲間に感謝しています

「これで、ひと安心できる」

人権無視の税務調査の中止を求める請願書を提出した仙台国税局への要請=9月24日

 弘さんは7月、脳梗塞を発症し、緊急入院することに。入院療養中だった9月11日、気仙沼税務署個人課税部門から自宅に電話がありました。応対した康子さんは、弘さんが入院中であることを伝え、「代わりに自分が内容を聞く」と伝えましたが、担当者は「本人にしか話せない」と、かたくなに拒みました。
 同13日に、再び税務署から「弘さんの退院日を教えてほしい」と電話があり、康子さんが退院予定日(14日)を告げると、「17日に税務署に電話をするように」と言われました。
 弘さんは、退院後も体調がすぐれず、税務署に電話ができずにいると、同20日に税務署から「本人と話がしたい」と電話が。弘さんが電話に出ると署員から「税務調査に入る」と告げられました。
 康子さんが、弘さんの体調がすぐれないことや、脳梗塞により言語と右半身に後遺症があることを伝えると、「後日また連絡する」と電話を切りました。同じ日、再度電話があり、「調査の日程を保留、延期にする」と告げられました。
 いつ、また連絡が来るか分からず、不安を感じた杉山さん夫妻は、民商に相談。民商では「最初の電話で、本人が入院している事実は知っているのに、退院日を確認し、本人に接触を図ること自体が横暴だ。体調や後遺症についても無視し、調査に入ると告げるなど、もっての外だ」と話し合い、調査取り下げの請願書を提出することを決めました。
 仙台国税局に9月24日(10月21日号既報)、10月9日には気仙沼税務署に、康子さんと中舘忠一会長=工務店、木村衛副会長=工務店、赤間祐子事務局長が同席し、税務調査の中止を求める請願書を提出しました。
 総務課長は「個人案件なので、守秘義務により回答できない」との対応に終始しましたが、別室で課税部門統括官と康子さんが面談し、「保留、延期ではなく取り下げてほしい」と訴えると、統括官は「調査は取り下げます」と明言しました。
 康子さんは「安心しました。民商の仲間の皆さんに協力してもらって助かりました」と安堵しています。

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