国税庁は、税務行政のデジタル化を口実に、来年1月から確定申告書控えへの収受日付印の押印を廃止する方針です。全国商工団体連合会(全商連)と各地の民主商工会(民商)は、80年近い慣習で行政の義務となっている収受日付印の押印継続を国税庁に強く求めています。京都・山科民商では、収受日付印が押された消費税の「中間申告書」の控えがあったことで、税務署の誤りをただすことができた事例が発覚しました。
収受日付印押印の大切さを実感したのは、建設業を営む小野支部の秋元哲哉さん(仮名)です。
一定要件を満たす消費税の課税事業者には、消費税の中間申告・中間納付が義務付けられています。秋元さんの下にも、東山税務署から中間納付の納付書が届けられていました。
しかし、事業形態の変更のために今年は売り上げが大幅に減り、消費税の納付が困難だった秋元さん。8月に民商に相談し、「当期の業績が悪化しているような場合などには、仮決算を行い、これに基づいて計算した消費税額及び地方消費税額により中間申告・納付ができる」との規定を活用。減額の中間申告書を提出し、数日後、収受印が押された控えが届きました。
ところが9月20日、税務署から「中間納付の納期限が過ぎているので支払ってもらいたい。延滞税もつく」と督促の電話が。すぐに「8月7日に中間納付の申告書を郵送で提出していますよ」と説明したものの、署側は「中間納付の申告は提出されていない。提出する期限は過ぎている」と言い張りました。
その後、秋元さんは、税務署の収受印が押された中間納付の申告書控えが家に保管してあることを思い出し、再度、税務署に「8月13日付けで受け付けられている控えがある」と電話。署側は「別の場所にありました。申請を認めます」と答えたそうです。
秋元さんは「最初は、税務署から『税金を払え』と言われて、びっくり。減額の申告書を提出しているのに『無い』と言われて、また、びっくり。控えにハンコをもらっていることを思い出して説明したら、あっさり認められ、さらにびっくりしました。こんなことが起きるのだから、来年から押印しないなんて、ミスやトラブルを起こすだけです。押印の継続を求めます」と話しています。