物価高騰対応の臨時交付金 業者や地域を支援する約束守れ|全国商工新聞

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 岸田文雄首相が6月21日の記者会見で、秋に策定する経済対策の一環として、中小企業や地域経済を支援する「物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金」の拡充に言及してから2カ月余り。臨時交付金の対象や規模について、いまだに検討されていないことが8月23日、参院財政金融委員会での小池晃議員(日本共産党)の質疑で明らかになりました。
 小規模企業の倒産が10年ぶりの高水準となっている下で、首相の約束を政府が反故にすることは許されません。
 マイナス金利の見直し(3月19日)直後に行われた東京商工リサーチのアンケート調査結果は、借入金利を引き上げる金融機関の動きを浮き彫りにしました。全国信用保証協会の対前年度比実績を見ると代位弁済が増え、保証残高が減る傾向が顕著になっています。日本政策金融公庫(国民生活事業)の融資先は従業員9人以下が88.4%を占めています。中小業者の実態と要求に合った資金繰り支援として、新規融資を含む借り換えの積極的な実施や金利・保証料の思い切った引き下げ、条件変更を可能にする対策が求められます。
 10月から従業員51人以上の事業所が厚生年金など社会保険の加入対象となります。政府は「事業所規模の条件」を撤廃して事業者全員を加入対象にすることも画策し、「社保倒産」の危険が高まります。
 最低賃金引き上げもあり、人件費増加分の転嫁対策と併せて、賃上げの原資に対する直接支援が必要です。小規模企業振興基本法成立時(2014年)に全会一致で採択された付帯決議にある小規模事業者の社会保険料負担を軽減する支援策も欠かせません。年間16億円超の役員報酬を得るトヨタ自動車会長が支払う社会保険料の負担率が0.08%なのに対し、年間給与600万円(月50万円)の町工場の社長の負担率は15%で、トヨタ会長の187.5倍という実態を放置することは許されません。国民健康保険(国保)料・税の軽減も切実な要求です。
 国が措置する臨時交付金の実施主体は地方自治体です。中小業者の生きる道を開くための支援策を自治体に提案し、必要な予算を国に求めるよう、全ての自治体に働き掛けることが急務です。

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