「日米2プラス2」合意 米軍追随やめ、外交努力尽くせ|全国商工新聞

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 九州・沖縄を管轄する陸上自衛隊の総監と在沖縄米海兵隊を統括する遠征軍司令官は4日、自衛隊と米海兵隊の共同訓練に併せ、陸自与那国駐屯地で記者会見を行いました。司令官は、中国を「脅威だ」と主張しつつ、指揮やレーダーでの警戒、補給などで「統合能力を強化する」としました。加えて、在沖縄12海兵沿岸連隊の探知能力を「(陸自の)第7地対艦ミサイル連隊とともに強化している」と誇示しました。これらは、7月28日の日米外交・軍事担当閣僚による会合(日米2プラス2)での合意を踏まえたものです。米側は今後、在日米軍を再編して「統合軍司令部」を新設し、インド・太平洋地域と在日米軍の指揮権が一部、与えられます。自衛隊が陸海空の一元化へ2024年度末に立ち上げる「統合作戦司令部」に対応する組織になります。
 平時から米軍と自衛隊の戦術や装備などの共通性が高められています。共同訓練で協力を促進していますが、情報でも、装備でも米軍が圧倒的に優越しているのは明らかです。自衛隊が米軍の事実上の指揮下に組み込まれる危険性が確実に高まっています。
 2プラス2では、自衛隊部隊の追加配備や日米共同演習などで「南西諸島における二国間のプレゼンス(存在)を向上させる」ことも合意。対中国軍事戦略の最前線と位置付けているからです。2プラス2の後、「拡大抑止」に関する初の閣僚会合が開かれたことも見逃せません。米国が核戦力による「抑止力」=「核の傘」を同盟国に広げて提供するもので、核兵器の使用が前提となっています。
 冒頭の記者会見は、折しも原水爆禁止世界大会・広島総会の開会日と重なりました。被爆者とともに国連や諸国政府、海外や日本の草の根運動の代表らが集い、「核兵器のしんしない世界」をめざして真摯な討議を広げている中で、日米両国政府の態度は余りにも不遜です。先制攻撃も辞さない米軍への追随や大軍拡でなく、核兵器禁止条約の批准こそ、唯一の戦争被爆国・日本の進むべき道です。平和の創出へ「互いに脅威とならない」という日中合意を生かし、日本側の敵基地攻撃も、中国側の南シナ海の現状変更も、やめるよう外交努力に踏み出すべきです。

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