小規模企業振興基本法10年 支援策求め自治体要請強めよう|全国商工新聞

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 小規模企業振興基本法(基本法)が2014年6月27日に施行されて10年が経過しました。
 基本法は、「小規模企業の振興は…事業の持続的な発展が図られることを旨として、行われなければならない」ことを基本原則として定め(第3条)、「小規模企業の振興に関する施策を総合的に策定し、実施する」ことを国の責務としています(第5条)。
 政府には、法が定めた四つの基本方針(①商品の販売・役務の提供・新たな事業展開の促進②経営資源の活用、人材の育成・確保③地域経済の活性化、住民生活の向上・交流の促進に資する事業活動の促進④小規模企業への適切な支援を実施するための支援体制の整備などを図ること)に基づき、小規模企業の振興に関する施策を講ずる」ことを求めています(第6条)。
 とりわけ地方公共団体の責務として、「基本原則にのっとり、その区域の自然的経済的社会的諸条件に応じた施策を策定し、実施する」ことを明記していることは重要です(第7条)。
 この法律の意義をつかみ、自治体に小規模企業振興条例の制定を求め、中小業者への支援策を要請し、実現・活用してきた各地の民主商工会(民商)が果たした役割は小さくありません。
 円安、株高、物価高騰の中で大企業が内部留保を増大させる一方で、小規模企業の危機が広がる中、岸田政権は6月21日、「小規模事業者の持続的発展に向けて、2024年度中を目途に、小規模企業振興基本計画を見直す」と明記した「骨太の方針」を閣議決定しました。岸田首相は同日の記者会見で、秋に策定する経済対策の一環として、「学校給食費等の保護者負担の軽減、飼料高騰などの影響を受ける酪農経営などの農林水産業、そして中小企業、医療・介護、保育、学校施設、公衆浴場、地域公共交通、そして物流、地域観光業等に対する物価高騰への幅広い支援を、物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金の拡充により、きめ細かく講ずることを検討」すると表明しました。
 この機会を逃さず、基本法を活用した中小業者への支援策を抜本的に発展させるよう全自治体に要請を強めることが切実に求められています。

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