自主申告に磨きかけ 各地の民商税金学習会|全国商工新聞

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 4月1日から施行された税務相談停止命令制度(命令制度)や、10日に人事異動を終えた税務署が今後、本腰を入れる税務調査に備えよう―。各地の民主商工会(民商)は、税金についての学習会を開き、自主申告運動に磨きをかけています。

権利知り事業守る 埼玉・大宮民商 「最近の調査」学習

大宮民商の税金対策学習会

 埼玉・大宮民商は6月13日、「最近の税務調査について」と題した学習会を、渕上信一税理士を講師に招き、民商事務所で開催。役員、会員ら14人が参加しました。
 渕上税理士は、税務調査の流れについて①机上調査②調査通知③事前通知④実地調査―の順になると語り、それぞれの詳細を解説。「通常の税務調査は3年分を調査されるが、机上調査の段階で既に5年分の申告内容を見られている」と指摘しました。
 調査通知や事前通知の内容について解説。事前通知は、国税通則法において①開始日時②場所③目的④対象税目⑤対象期間⑥対象となる帳簿書類その他の物件⑦非違事項の質問検査権など―を伝えることになっていると説明しました。
 渕上税理士は「実地調査では、最近は調査官1人ということはまずなく、2人で来ることが多い。売り上げ規模の大きなところには3人で来ることもある」と指摘。「調査官は調査対象者の資料を持ち帰ろうとするが、拒否していい。しかし、私たち税理士が調査に立ち会った際、調査官に資料の持ち帰りを拒んでも、納税者が一言でも『どうぞ』と認めれば、持ち帰られてしまう。納税者との事前の打ち合わせや、認識の共有が大切になる」と強調しました。
 所得税において家賃や光熱費などを経費として計上する際の、仕事に使う分の案分のやり方や、申告書において例年とは異なる数字が出た際の扱い方などについても説明。「正しい申告と、調査に対する準備が、結果的に事業を守る”最善手”になる」と語りました。

相談活動を旺盛に 京都・伏見民商神川支部 「命令制度」学ぶ

伏見民商神川支部の税務相談停止命令制度学習会

 京都・伏見民商神川支部は6月11日、命令制度の学習会を開催。会場の伏見区役所神川出張所には、会員9人が集まりました。
 支部では、命令制度について、今春の確定申告書作成会などでも繰り返し説明してきました。ところが、4月1日からの命令制度施行後、会員から「今までと、どう違うのか」「これからは申告書作成会や相談会ができなくなるのか」などの疑問や質問が出されたため、改めて命令制度や自主記帳・自主計算運動について学ぼうと開いたもの。民商事務局員の丹野陽一さんを講師に、知識を深め合いました。
 丹野さんは4月以降、鹿児島県の大崎農民組合に調査が入るなど、税理士法を悪用した組織弾圧ともいえる動きがあることを報告しました。
 民商で行っている自主記帳・自主計算は、「脱税や不正還付」とは無縁な、自らの経営をつかみ生かすためのもので、「生活費に食い込むような税の在り方を正すためにも、普段からの伝票整理や記帳が大切になってくる」と強調しました。

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