全国商工団体連合会(全商連)など8団体でつくる「自主申告運動の擁護・発展をめざす懇談会」は6月10日、3月21日に起きた鹿児島・大崎農民組合に対する熊本国税局、大隅税務署による調査・介入問題が5月21日に終了したことを受けて、報告会を全商連会館で開催。オンライン参加を含め14人が参加しました。
現地で奔走した村山耕次郎弁護士(かごしまくすのき法律事務所)が、この間の対応を説明。「税理士法違反容疑の案件は初めてだったこともあり、浦野広明税理士の協力を得て、4月22日付で代理人として熊本国税局に請願書を送った。国税局が示した財務省設置法第19条(国税庁の任務)は、今回の調査の根拠とならないことを指摘し、申告内容について調査しなければならない合理的必要性も示されず、適正手続きにも違反している旨を伝え、中止を求めた」と述べました。「国税局は5月21日に当事務所を訪れ、一連の調査はあくまで任意で行ったもので、質問検査権とは別個のものだと説明。当事者に『税理士法2条(税理士業務)と52条(税理士法違反行為)について説明したことを連絡すれば、調査は終了する』ことになった」と結果を報告しました。その上で「国税局や税務署からの問い合わせに回答したり、資料を提出する必要はなく、会員にも自主申告は税理士法に反するものではないことを徹底することが大事だ」と強調しました。
農民連の笹渡義夫副会長は「今回の事態を『弾圧・介入』につながるものだと認識し、弁護士への依頼や、税務署への抗議書の提出など機敏な対応を行ったことだ」と教訓を語りました。浦野広明税理士は「税務調査では、憲法31条が定める適正手続きの保障と、事前通知と調査理由の開示が必要で、抜き打ち調査は違法だ。民商や農民連の自主申告は税理士法違反ではない。納税者には、いろいろな”お尋ね文書”が送られてくるが、答えれば税務調査につながるので、出さないことが一番だ」と述べました。
鹿児島県商工団体連合会の山内太志郎事務局長は、大崎農民組合と曽於民主商工会(民商)は地域が重なり、3・13重税反対行動にも一緒に取り組んでいるため、民商にも影響が及ぶことを懸念し、緊急に県内9民商で対策会議を開催したと報告。「オンラインで全商連とも結んで、対応を協議した。倉敷民商弾圧事件と同じ流れであることを共有し、曽於民商の会員約500人全員に税務署が来た時の対応策を徹底した。会員からも『自分の申告は自分でしたと言う』との声も出され、スムーズに徹底できた。今後も自主記帳、自主申告運動を進めたい」と表明しました。
全商連の中山眞常任理事は「税務相談停止命令は民商の自主申告運動とは無縁だが、今後、同様の事案が起きた場合は、すぐに連絡を取り合って、自主申告の擁護・発展をめざし、懇談会で議論を進めたい」と締めくくりました。