政府は6月21日、「経済財政運営と改革の基本方針2024」(骨太の方針)を閣議決定しました。骨太の方針は、政府と財界代表らで構成する経済財政諮問会議が作成し、来年度の政府予算案に反映されます。元々、財界の要求が最優先される不公正な仕組みです。
「我が国経済は、現在、デフレから完全に脱却し、成長型の経済を実現させる千載一遇の歴史的チャンスを迎えている」から始まる骨太の方針は、岸田政権の各施策のさらなる加速を宣言しています。
「5年間で43兆円の防衛費」のために、赤字国債の増発につながる決算剰余金の活用に加え、適当な時期に必要な法制上の措置(防衛増税)を講ずると明記しました。
その一方で、世代間対立をあおる「全世代型社会保障制度の構築」の名の下に、年金制度のさらなる不安定化や医療費の3割負担拡大、国民健康保険料・税の値上げなど、医療・介護の負担増と「給付の適正化」(削減)をちりばめました。
健康保険証を廃止し、マイナンバーカードに保険証機能を持たせるなどの”デジタル社会への強制移行”では「経済の持続的かつ健全な発展と国民の幸福な生活の実現」に寄与するのがデジタル社会だと強弁。「マイナンバーカードは、デジタル社会のパスポート」と位置付けます。
中小企業対策では、賃上げの定着へ「価格転嫁対策」を掲げますが、「今後は、景気の緩やかな回復が続く中で、賃金上昇が物価上昇を上回っていくことが期待される」などと無責任な願望に終始。日産自動車が下請け企業に対し、2年余りで約30億円も違法に支払いを減額したことに象徴される、大企業の下請けいじめなどを根本からただす施策はありません。
岸田政権は、この方針を基に「物価高から国民・中小業者を守ることに無策」を続け、「カネの力にものを言わせ」た大企業優遇や、憲法を踏みにじる大軍拡を進めようとしています。全商連第56回定期総会で採択した「総会方針」「私たちの要求」を学び、自治体や業界団体と懇談し、「中小企業者を活気づけ」「持続可能な地域循環型社会」の実現こそ、希望の持てる経済社会につながる確信を広げましょう。