県補助金対象者に支援集中 きめ細かいサポートこそ
全商連付属・中小商工業研究所は14日、石川県内の全20自治体(県市町)を対象にした「2024年能登半島地震・物価高騰の影響を受ける中小業者向け支援策」実施状況調査の結果を公表しました。同調査は、能登半島地震発生から約1カ月半後の24年2月16日から3月21日の期間で実施。補助金・支援金、資金繰り支援策など被災自治体の中小業者向け支援策の特徴や課題が明らかになりました(図)。
志賀町 雇用に応じ輪島市、能登町地域性考慮
石川県は、被災地域の復旧・復興の促進を目的に「なりわい再建支援補助金」を実施しています。県内に事業所を有する中小企業・小規模事業者の施設・設備の復旧費用などを補助するもので、上限額は15億円です。県によると、第1回の交付決定は6件にとどまっています(3月27日時点、その後は随時受付)。「七尾市なりわい支援補助金」(上限額50万円)や「小松市なりわい支援補助金」(同100万円)など基礎自治体の支援策が、県補助金の交付決定・確定通知を受けた事業者を対象としています。これでは、限られた補助対象事業者に支援が集中しかねません。被災中小業者が県補助金を活用促進できる状況にするための、きめ細かいサポートと同時に、幅広い被災事業者に届く施策が求められています。
「志賀町事業者等災害復興支援金」(仮称)は、町内の企業・個人事業主の事業継続を支援するもの。従業者「0~4人(交付金額10万円)」「5~14人(同25万円)」「15~29人(同50万円)」など従業者数に応じて支援金を交付するのが特徴です。同町によると、町内全事業者が被災しており、幅広く支援することを重視しています。
また、輪島市の「輪島市伝統的工芸品産業支援補助金(災害復興事業)案」や能登町の農林漁業を対象とした各種支援策など、地域性を考慮した支援策があります。
国・県は人的資金的支援を 自由記入欄より市町からの要望
自由記述欄には、各市町から「なりわい再建支援補助金などの手厚い支援が講じられているが、道路や上下水道の損壊、家屋倒壊など日常生活に必要不可欠な施設に甚大な被害が生じている。補助金を活用し施設を復旧後、売り上げを回復するにはさらに時間を要する。中長期的な財政措置を求める」や「国・県からの人的資金的な支援」「財政力が弱い自治体であるため、地方負担分に対する手厚い支援を」など、県や政府への要望が寄せられています。