【物流2024年問題】関連2法が衆院可決 全商連のアンケートも引用 ドライバーの実態示し改善を要求|全国商工新聞

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日本共産党・高橋千鶴子衆院議員が質問

全商連の運送事業者アンケートなどの実態を示し、物流関連2法の改正案の内容をただす高橋衆院議員(共産)=4月10日、国土交通委

 4月から、物流業界にも時間外労働の上限規制が適用された「物流の2024年問題」。荷待ち・荷役時間の削減や積載率向上による輸送能力の増加をめざす「流通業務総合効率化法および貨物自動車運送事業法の改正案」(下の図)が4月10日の衆院国土交通委員会で賛成多数で可決、翌11日の衆院本会議でも可決され、参院に送られました。
 同法案は、荷主・物流事業者に物流効率化のための努力義務を課すほか、トラック事業者に実運送体制管理簿の作成や、運送契約の際に提供役務の内容やその対価を記載した書面交付を義務付ける―などにより、荷主・物流業者・一般消費者が協力して物流を支える環境整備をめざすもの。
 同委員会の質疑で高橋千鶴子議員(共産)は、ドライバーの労働時間短縮と処遇改善、中小事業者の価格転嫁について、全国商工団体連合会(全商連)の「物流2024年問題運送事業者の実態アンケート」結果などを示して、改正案の実効性を高めるよう求めました。
 高橋議員が「納品先では、混雑時は2時間から4時間以上待たされる。女性ドライバーはトイレがないから大変で、簡易トイレを渡している」など実態アンケートに寄せられた荷待ち・荷役に関する声を紹介し、「荷役があると答えたのは83.8%で、その分を7割が運賃に転嫁できていない」と指摘。斉藤鉄夫国土交通相に見解をただしました。
 斉藤大臣は「道路で待たされる上に、ばら積み、ばら降ろしまで全部要求されるという状況は把握している。荷主、着荷主、発荷主、共に連携して、こういうことがなくなるよう頑張りたい。荷役作業をするかしないかは、荷主とトラック事業者間の契約に基づいて行われるべきもの。契約にきちんと書いて、その分の対価を払うことが必要」などと述べました。

重層下請け解消へ期待

(有)新郷運輸
埼玉・川口民商 赤城義隆さん

 改正案は、低運賃の温床になっていた重層下請け構造の解消をめざす方向性を示した点で、期待しています。
 元請け事業者に実運送事業者の名称などを記載した管理簿の作成を義務付けることで、下請け事業者の管理の手間を考えれば、下請けは2次くらいまでになるのではないでしょうか。そうなれば、これまで中抜きされてきた手数料などが減り、実運送した事業者が標準的な運賃を得られるようになる道が開けるかもしれません。また、改正によって荷待ちや荷の積み下ろしにかかる料金も請求しやすくなる可能性が開けます。
 問題は、実際にできるかどうかです。標準的な運賃に満たない発注でも罰則はありません。中小事業者は価格交渉など難しい面が残されています。行政として、一定の基準を示して、規制していくことが必要だと思います。

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