社会保険料の強権的徴収 納付可能な分納で事業の継続を|全国商工新聞

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 社会保険料の強権的な徴収を受け、「無理な分納計画を押し付けられて払えない」「一括納付を迫られ相談に応じない」など切実な事例が各地の民商に寄せられています。
 コロナ禍で経営が落ち込み、回復しない下、超低金利政策による円安が物価高騰を招き、中小業者の資金繰りの困難は、深刻さを増しています。この間の税金、国保料・税、社会保険料などの納付猶予は少なくとも継続し、必要に応じて減額・免除も素早く行われるべきです。
 日本年金機構は10月、全ての猶予事業所を対象に、社会保険料の猶予期間の再点検と納付計画の策定協議を行うよう「取組方針」を出しました。納付不履行があれば、「猶予の取消予告」を通知することも求めています。
 日本年金機構によれば、社会保険料を滞納している事業所は今年3月末時点で、14万811事業所(加入事業所の5・2%)に上り、4万6150事業所が納付猶予を受けています。9月以降、こうした事業所への電話や文書での連絡が全国の年金事務所で始められています。
 11月13日、参院行政監視委員会で、日本共産党の倉林明子議員が社会保険料の納付相談の在り方をただしたのに対し、宮﨑政久厚労副大臣は、こう答弁しました。
 「直ちに財産の差し押さえを行うのではなく、まずは事業主に電話や文書で連絡を取り、事業所の経営状況や将来の見通しなど、丁寧に伺いながら猶予や分割納付の仕組みを活用するなど、事業所の状況に応じる形で丁寧な対応を行っている」
 厚労省の担当者も「取組方針」について、「まずは一度、顔を合わせて、お話ししましょう」「実情に応じて計画を一緒に立てましょう」と、猶予適用者に接触を図ることを呼び掛けるものと説明しています。
 こうした国会答弁や回答も生かして、社会保険料の強権的な徴収を是正させるとともに、社会保険料にも応能負担を適用させ、小規模企業振興基本法の付帯決議にある「より効果的な支援策の実現を図る」ことを国に求めていくことが重要です。経営・金融相談を広く呼び掛け、悩みを抱える中小業者に支援の手を差し伸べ、当事者と共に経営危機打開の運動を進めましょう。

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