今号から恒例の「確定申告のワンポイントアドバイス」を全14回の予定で連載します。
早めに準備を始めよう
日本国憲法は「主権が国民に存する」旨を宣言し、私たち国民が主権者として「自分の税金は自分で決める」、これが所得課税に対する基本的な考え方となっており、「申告納税制度」と呼ばれています。
申告納税制度では、1年間の所得(もうけ)や税額を納税者自らが確定させます。確定申告書に記載した所得金額などは、住民税や国民健康保険料・税、後期高齢者医療保険料などの税額や保険料の計算基礎となります。早めに準備をして余計な税金を納税しないようにしましょう。
申告納税制度を支えているのが自主申告です。最近は、自主申告をデジタルを使って画一化しようとする動きが顕著になっています。
確定申告は皆さん自身のものです。確定申告は複雑化していますが、楽だからと、安易な考えでデジタル化に乗った申告をすることがないように注意しましょう。
確定申告期間は、2024年2月16日(金)から3月15日(金)までとなっています。納税ではなく、医療費控除などによる所得税の還付を受ける、いわゆる還付申告となる場合にも確定申告は必要です。還付申告は、年が明ければ、すぐに申告を行うことができます。
確定申告をしなくてはならない人は、個人で事業を営んでいる人(フリーランスなど)、家賃収入があり一定額以上の所得がある人、土地建物などを売って利益が出た人などです。給料や年金収入だけであれば、確定申告は必要ないのですが、昨今は「事業か給与か」という所得区分の争いが多く見られますので、注意しましょう。
図で計算方法の流れを見ます。事業所得や不動産所得における経費とは、仕入れや水道光熱費など、事業収入を得るために必要な支出をいいます。何種類も所得があるときは全ての所得を合算して「(イ)合計所得金額」を算出します。「(ロ)所得控除」とは基礎控除や配偶者控除、医療費控除などのことです。合計所得金額から所得控除を差し引いて「(ハ)課税総所得」を計算します。課税総所得に税率を乗じて計算した所得税額から、「(ニ)税額控除」(住宅借入金控除や政党等寄付金控除など)を控除することになります。
このように何段階もの計算手順を踏んで、納付(還付)税額を自ら決定します。
最後に、「確定申告書に個人番号を記載しないとダメでしょうか?」とよく聞かれますが、国税庁は「個人番号の記載がなくとも有効な確定申告書として扱う」と明言しています。