全国商工団体連合会(全商連)は7日、第5回常任理事会(8月26日)で確認、発表した「納税者の権利憲章」(第3次案)を「学び、広げ、たたかいに生かそう」とのシンポジウムを、全商連会館でオンラインを併用して開きました。
岩瀬晃司副会長が開会あいさつ。「3次案を大いに学び、生かすことが、不当な税務行政から身を守り、税務署員の誤った認識を是正させる力になると確信している。『納税者の権利憲章』を制定させ、納税者本位の税務行政を実現させよう」と呼び掛けました。
服部守延常任理事(税金対策部長)が、3次案の特徴を紹介。①税務行政のデジタル化の進展を踏まえ「国民のプライバシーが最大に保護され、個人情報へのアクセスを制限する権利が保障されること」②税務相談停止命令制度が創設された下で、「納税者は税務相談や税務書類の作成を誰にでも自由に依頼する権利が保障されること」―などを新たに盛り込んだと報告しました。
立正大学法制研究所特別研究員の浦野広明さん(税理士)は「納税者権利憲章自体は、あくまでも権利を実現するための道具として使うもの」と指摘。「3次案に書かれていることは、憲法に根拠を持つことなので、あらゆる税制・税務行政の場で、これを道具として使って、民主的な税制を確立していこう」と呼び掛けました。
自由法曹団の西田穣弁護士は「3次案は、憲法の原則を丁寧に引用しており、これに逆らうことは、権力を有するものは絶対にできない」と強調。「この憲章案を常に身の周りに置き、”守り神”のように使っていただきたい」と訴えました。
TCフォーラム(納税者権利憲章をつくる会)事務局長の平石共子さん(税理士)は「3次案の『納税者に保障される基本的原理』の10項目は、時代に即した納税者の権利を具体的に示したもの。納税者が学ぶことで、大きな力になる」と評価しました。「納税者の権利憲章は、世界のミニマムスタンダード(最低限の基準)」と国会で取り上げた日本共産党の小池晃参院議員がオンラインであいさつ。「権利憲章は、政府・財務省の狙いをはね返し、民主的な税務行政を実現するだけでなく、『税の取り方・使い道』を民主的に変え、国民が主人公の政治を実現することにつながるものだ」と期待を寄せました。
納税者の権利擁護を TCフォーラム秋の大学習会
全国商工団体連合会(全商連)も参加するTCフォーラム(納税者権利憲章をつくる会)は7日、衆院第2議員会館で秋の大学習会「税務調査の実態と納税者の権利」を開催。約30人が参加し、オンラインでは100カ所以上で視聴されました。2013年の国税通則法「改正」からの10年を振り返り、税務当局による強権的な税務調査の実態を交流し、納税者の権利擁護に向けて意見を交わしました。
石村耕治共同代表(白鴎大学名誉教授)が「国税通則法改正を回顧する」と題して基調報告。「世界の国々では『納税者権利憲章』を公にして、納税者にはどのような権利があり、課税庁はそうした納税者の権利を尊重した上で税務行政を行うことを、明文でアナウンスしている」と指摘しました。岡田俊明、八代司両税理士が税務調査の実態を報告。「税務行政のデジタル化によって、納税者の権利を著しく侵害することにつながりかねない」(岡田税理士)、「税務調査は職員の労務管理と一体でなされており、ノルマ達成のために強権的な調査が増加している」(八代税理士)と告発しました。参加者のディスカッションでは、国税通則法「改正」によって税務調査手続き「見直し」が盛り込まれたものの、結局、課税庁の権限強化に結びついていった実態と、世界の流れに逆行する日本の税務行政の後進性が浮き彫りになりました。
共同代表の鶴見祐策弁護士が発言し、「課税庁による調査が任意であり、納得できなければ、拒否するのが当然。納税者の権利を守る立場で奮闘してほしい」と激励しました。小池晃参院議員(共産)、田村貴昭衆院議員(同)が駆け付け、あいさつしました。
自主記帳を支えよう新潟・魚沼民商 1泊サポーター講座
新潟・魚沼民主商工会(民商)は10月28、29の両日、上越国際スキー場の麓にある会員の「西旅館」さんで「記帳申告サポーター育成講座」を1泊2日で開催。初参加の3人を含む10人が集いました。民商の自主記
帳・自主計算運動を支えるサポーターを広げつつ、若手会員や事業継承予定者の交流を図ろうと開いたもの。初日は、全国商工団体連合会(全商連)発行の「自主計算パンフレット2023」と自前の「自主計算ノート」をもとに、「自分の商売を数字でつかむ」自主記帳・自主計算の大切さを確認。経営と権利を守る四つの魅力(①経営対策の力②徴税攻勢をはね返す力③国や自治体の減免・猶予制度などの活用を進める力④自治体に向けて自営業者の支援策を立案する力)を強調しました。実務では、経費の種類や生活関連費とのあんぶん按分の仕方、減価償却費の計算、日計表・月計表の活用をしっかりと学びました。
2日目は、確定申告書の作成実務の講座。「所得の種類」「各控除の計算」「税金の計算」を学び、二つの例題をもとに申告書に記入しました。
参加者は、「経費の早見表で『香典』について取引先、同業者だけでなく近所の方々も対象になることを初めて知った」(宿泊)、「いままで父親を青色専従者として月々の給与を支給していたけど、年内中途では変えられないことを知った。扶養控除するには計画的に考えていかなければならないね」(建築板金)、「障害者控除が取れる、取れないの線引きが難しいね」(建具)など、若手会員も含め、日頃の疑問や質問を出し合い、積極的な意見交換で今後の民商活動にもつながる、充実した交流が図られました。