辺野古新基地建設で最高裁不当判決 世論と運動で政治動かし阻止を|全国商工新聞

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 防衛省沖縄防衛局が、辺野古新基地建設で大浦湾側の軟弱地盤発覚に伴い申請した設計変更と国土交通相の裁決を巡り最高裁は4日、沖縄県の上告棄却の不当判決を下しました。玉城デニー知事は「憲法が託した『法の番人』としての矜持と責任の下、地方自治の本旨を踏まえた公平・中立な判決を最後まで期待していただけに極めて残念」と述べました。
 2021年11月、沖縄県が設計変更の申請を不承認とした理由は、地盤改良工事に9年以上かかる不確実性や調査もされない軟弱地盤の安全への懸念、希少生物をはじめとした環境への甚大な影響などです。これに対し、国は行政不服審査法を乱用し、沖縄防衛局が私人になりすまして、不服審査を請求。新基地推進へ国交相が県の不承認の取り消しを裁決し、続いて是正指示を出していました。違法な自作自演行為であり、沖縄県が裁決と是正指示の取り消しを求めたのは当然です。
 最高裁は22年8月、裁決に関する県の上告を不受理としました。そして今回、県が設計変更申請を不承認とした理由には一切言及せず、国と自治体が対立した場合、自治体は国に従うしかないという驚くべき判断を示しました。これは、2000年の地方分権一括法で「包括的な国の指揮監督権」が廃止され、「国の関与は最小限」「地方公共団体の自主性・自立性に配慮」とした原則に背くものです。
 新基地建設を巡る法廷闘争は大きな節目を迎えたとされます。しかし、辺野古新基地阻止で固く団結する「オール沖縄」は、玉城知事を支え、たたかいを発展させる構えです。最高裁が判断を避けても最深部で水深90メートルでの地盤改良工事の実績は無く、完成のめどは立っていません。玉城知事は国連人権理事会に出席し、県への不条理と人権尊重を訴える予定です。
 かつて沖縄では、サンフランシスコ条約上不可能と言われた壁を乗り越え、祖国復帰を勝ち取った歴史があります。新基地建設の是非を問う19年の県民投票で7割以上が反対の意思を示し、県知事選や国政選挙でも移設反対の審判を下し続けてきました。「オール沖縄」に学び、全国支援も強めて、世論と運動で政治を動かすたたかいを大いに進めましょう。

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