燃油など物価高騰 ガソリン税凍結、消費税減税を|全国商工新聞

全国商工新聞

 「1カ月分のガソリン代が倍以上になった」―。ガソリン価格の高騰と、収束しない物価高が、経済社会や市民生活に重大な影響を及ぼしています。値上がり分を取引価格に転嫁できない小規模事業者の経営は苦しくなるばかりです。全国平均のガソリン価格は15週連続で上昇し、8月30日時点で1リットル185・6円となりました。
 ガソリン価格が上昇する原因は、コロナ禍後の需要増加、円安、ロシアのウクライナ侵略といわれていますが、政府によるガソリン高騰対策が今年1月から段階的に削減されてきたことも一因です。
 岸田政権は、昨年1月から「燃料油価格の激変緩和事業」として、ガソリン、軽油、灯油、重油、航空機燃料を扱う石油元売り企業に補助金を支給し、燃油の卸価格を引き下げてもらう仕組みを導入しました。しかし、経済産業省が「小売価格の値下げを促すものではない」と説明するように、効果は極めて限定的で、9月4日時点の予測でもレギュラーガソリン価格の引き下げ効果は1リットル当たり10・4円に過ぎません。「さらに上がるのでは」と心配の声が上がるのも当然です。
 政府・与党はガソリン価格を1リットル180円未満に抑制し、175円程度になるよう、石油元売り企業への補助金を拡充し、年末まで継続する方向で動いています。しかし、店頭価格の下げ幅もわずかな期間限定の対策で、国民・中小業者の危機は救えません。
 ガソリンにかけられている税金を減税しない政府の姿勢も問題です。ガソリン価格には33・2%もの揮発油税などが含まれており、消費税分を合わせると42・3%に上ります(22年第3四半期)。消費税(付加価値税)を国の税金として実施していないアメリカの割合は12・9%に過ぎません。
 いま、日本の税収は消費税を含めて大幅に増えています。石油元売り企業への補助金として措置した6兆円もの予算があれば、ガソリンにかかる税金を2年間ゼロにできます。そうすれば、1リットル180円のガソリン小売価格を120円程度に抑える道も開かれます。緊急のガソリン・物価高対策として、ガソリンにかかる税金の課税と徴収の凍結、消費税の減税こそ実施すべきです。

購読お申込みはこちらから購読お申込みはこちらから