福島第1原発 「汚染水放出やめよ」 民商会員が怒りの訴え|全国商工新聞

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 政府は8月24日、東京電力福島第1原発事故で発生した汚染水(ALPS処理水)の海洋放出を強行しました。「生業を返せ、地域を返せ!福島原発訴訟」(生業訴訟)をはじめ、原告として国と東電の原発事故に対する責任を追及し、賠償を求めてきた民主商工会(民商)会員は、「必ず風評被害が起こる」「直ちに放出をやめよ」と怒りの声を上げています。

安全性へ疑念拭えない

「生業訴訟」原告団長 福島・相双民商
中島 孝さん=食品小売り

「国民の声を聴かない政府は断じて許せない」と憤る中島さん

 8月21日の岸田首相との会談で全漁連会長は、「海洋放出に反対であることはいささかも変わらない」と明言しました。
 しかし、その日のうちに政府は放出の準備に。被害が出ると承知で、批判の広がりを早く抑え込みたかったのでしょう。
 「話は聞いた」ふりでゴリ押しというのは、この間の政府の常とう手段です。一切、国民の声を聴かない、暮らしも命も軽んじる。これを専制、独裁と言わずして何でしょうか。断じて許せません。
 汚れた水を大量の水で薄めれば、その時はきれいに見えるでしょう。問題は、数十年にわたって大量に流した結果、健康被害は起きないのか。誰も検証できません。検証できないものを安全だと断言するのは科学ではありません。
 ALPS処理水に含まれるトリチウムは、体内に入れば炭素と結び付いて有機トリチウムとして細胞内に長くとどまり、放射線で遺伝子を破壊するとの専門家の指摘があります。
 政府は海洋放出の後ろ盾として、IAEA(国際原子力機関)の包括報告書を持ち出しますが、IAEAは、海洋放出の方針を「推奨するものでも支持するものでもない」と留保を示していますし、そもそもIAEAは原子力推進機関です。そこが安全だといっても疑念は拭えません。
 第3者機関を設けて検査をしなければ、放出する処理水が本当に処理されているかも疑わしいです。これでは魚を扱う業者が被害を受けることは、はっきりしています。私も生鮮食品を扱っており、影響は免れないでしょう。海洋放出は直ちにやめるべきです。

未来の「いのち」危険に

群馬訴訟原告 群馬・前橋民商元会員
丹治 杉江さん=ワープロ修理

 原発事故から12年。「原子力事故緊急事態宣言」は発せられたまま、ふるさとに戻れていない人は8万人以上、人が住めない汚染地域は東京23区の半分の広さに及びます。
 廃炉は困難を極め、溶け落ちた燃料デブリ880トンは、いまだに耳かき1杯も取り出せないのに、“処分場所の確保のため”という嘘で「ALPS処理・汚染水」は今後30年以上、太平洋に投棄されるのです。
 海はゴミ捨て場ではありません。未来の「いのち」の危険につながる海洋放出は絶対に許せません。
 9月8日、福島地方裁判所に「汚染水放出差し止め訴訟」を提起します。今後2次、3次と原告を追加募集し、国民的な大運動に発展させたいと思います。皆さんの参加をお待ちしています。私が原告事務局です(携帯090-7797-4673)。
 原発事故の「記憶の風化」は、真実が明らかにされないことで、より進むのではないでしょうか。事故原因も責任も、結局「想定外の津波」で幕引きを図ろうとする国と東電の姿勢は、被災者・国民を愚弄するものです。
 岸田政権による「原発回帰と原発GX法」の推進は、「原発重大事故、次も日本」(福島県楢葉町の宝鏡寺の故・早川篤雄住職の言葉)への道です。「核の平和利用」に群がる“原子力マフィア”の実態と「3・11」前後に何が起きていたのかを検証し、事実を国民の共通認識とすることが、日本の原子力政策、民主主義の未来にとって重要です。
 群馬県前橋市に12年間、避難し、前橋民商の仲間に支えられ「原賠訴訟」や被災地支援を進めてきましたが6月に、いわき市に戻り、楢葉町の原発事故の教訓を伝える施設「伝言館」のボランティア館守に就任しました。
 改めて、福島から「フクシマ」の実態を発信し続けます。

直ちに撤回・中止を 福島県連も参加復興共同センター 抗議の宣伝

50人が参加し、「国は約束を守れ」と訴えた「ふくしま復興共同センター」の宣伝

 福島県商工団体連合会(県連)や県内の民主商工会(民商)も加わる「ふくしま復興共同センター」は8月24日、政府と東京電力が福島第1原発事故の汚染水(ALPS処理水)の海への放出を強行したことに抗議する集会をJR福島駅前で開き、民商をはじめ、県労連や新日本婦人の会、農民連など約50人が参加しました。
 参加者は「漁業者の反対を無視し、県民や国民合意がないまま強行したことに強く抗議する」「関係者の合意なしにいかなる処分も行わないという約束を守れ」と声を上げ、汚染水放出を直ちに撤回、中止するよう求めました。
 行動には岩渕友参院議員(共産)も参加しました。

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