6月30日、政府税制調査会が「わが国税制の現状と課題」(中期答申)を発表しました。国民を狙い撃ちにする「増税メニュー」に驚きと怒りが広がり、政府税調に諮問した岸田首相自身が「サラリーマン増税うんぬんといった報道があるが、全く考えていない」と述べざるを得なくなっています。
中期答申が課税強化に向けて「検討すべき」とした対象には、退職金をはじめ、非課税とされてきた通勤手当、失業給付、生活保護給付、遺族基礎年金、遺族厚生年金、給付型奨学金、当座預金の利子、給与所得者の旅費、社宅貸与、食事の支給、従業員割引などが並びます。
所得控除では、配偶者・配偶者特別、雑損、医療費、社会保険料、小規模企業共済等掛金、生命保険・地震保険料、寄附金などの控除を挙げるなど、まさに手当たり次第です。デジタル化の推進と併せて青色申告特別控除の見直しも盛り込まれています。
一方で、消費税については、「さらなる増加が見込まれる社会保障を安定的に支える観点から、今後も重要」と述べ、税率の引き上げに含みを持たせています。
青色申告と白色申告の専従者控除の違いについて答申は「課税の公平の確保に向け、青色申告の一層の普及を通じた適正な申告水準の維持・向上を図ることの重要性に鑑みた措置」と当然視しています。白色申告者にも記帳義務を課しながら、同居する家族従業者の働き分を経費と認めない所得税法第56条を廃止する意識は微塵もありません。税務調査への非協力や仮装・隠ぺいに加担する第三者への罰則強化も促しています。
重大なことは、軍拡財源が問題になる中で、増税強化の対象が生きる権利や学ぶ権利を保障するための手当や所得控除にまで及び、さらなる罰則強化が狙われていることです。戦争する国を支えるために税制・税務行政を作り変えるなど絶対に許されません。
いま必要なことは、憲法に基づいて国民に平和的生存権を保障するために、生活費非課税と応能負担という大原則を税制に貫くことです。大企業と富裕層を優遇する不公平な税制を正し、物価高から国民を守る消費税の減税こそ急務です。